TV画面に武骨でいかつい伊藤雄之助そっくりの顔が大写しになった。
オトマール・スイトナーだ。今夜のN響アワーは永く名誉指揮者を務めたスイトナーを偲ぶ追悼特集なのである。
《名誉指揮者・スウィトナーをしのぶ》
ヴェーバー:
歌劇『魔弾の射手』序曲
ブラームス:
交響曲 第三番
オトマール・スイトナー指揮
NHK交響楽団
1988年3月4日、
1989年11月16日
東京・渋谷、NHKホール(実況)
病を得て六十歳代末で潔く現役を去ったスイトナーの最後から二番目と最後の来日時の演奏なのだそうだ。この時期の小生は全くクラシカル音楽から離れていたので見聞するのはこれが初めて。六十六、七歳の頃の映像だが、風貌にも指揮振りにも老いの影は微塵もなく、小生が馴染んだ1970年代初めと殆ど変わりない。一見すると不器用そうに見える素っ気なく無造作な所作もおんなじだ。
ちょっとだけだが当時の練習風景やインタヴューも映る。「ブラームスはオーサカぢゃなくホッカイドー。北の国の音楽なんだ」「第三交響曲の演奏機会が少ないのは静かに終わる曲だから。喧騒に塗れた現代だからこそ、静かに終わる音楽が必要なのではないか」。そのとおりの演奏。深々と思いの丈を吐露する名演だ。
最晩年のインタヴュー映像は昨年放映された衝撃のドキュメンタリー『
父の音楽~指揮者スウィトナーの人生~』(レヴューは
→ここ)からのクリップ。この番組の再放送が2月15日早朝にあるらしい(
→ここ)。これは必見だろう。