今日も家人とともに新宿三丁目の角川シネマ「大
雷蔵祭」に見参。
前回の立見で懲りたので、数日前に新宿に出た際に購めておいた前売指定席券での鑑賞。やはりこうでなくちゃね。今日の一時からの回も立見客が十数人いた。
忠直卿行状記
森一生監督作品
大映
1960
原作/菊池寛
脚本/八尋不二
撮影/相坂操一
美術/西岡善信
音楽/伊福部昭
出演/市川雷蔵、小林勝彦、山内敬子、三津田健、石黒達也、水谷八重子 ほか
これは秀作である。始まってすぐ見憶えのあるフィルムであることに気づく。恐らくは文芸坐の「森一生監督特集」で遙か昔に観たのであろう。
英邁な主君だったはずの松平忠直(徳川家康の実孫だが故あって大名の身)が猜疑心に苛まれ、忠実な部下を死に追いやり、酒色に耽り人妻を犯すなど非道の限りを尽くした揚句、領地を没収され流謫になるという悲惨な物語。原作の菊池寛の短篇小説がネット上で読める(
→ここ)。ラストが大きく異なるほかはまあ同じ話だ。なんでもこれは菊池寛の十二回忌の記念映画なのだそうな。菊池は大映の初代社長でもあったのだ。
ままある「殿ご乱心」もの、といってしまえばそれまでだが、心に弱さを抱える君主の内面に迫る雷蔵の気迫といい、森一生の手際の良い演出といい、見応え充分のフィルム。モノクロ撮影なのも納得。これは孤独な心の映し出す光と闇のドラマなのだ。悪行の果てに得心し、憑物が落ちたように晴れやかな表情で城を去っていくラストは原作とは異なるが、こうでもしないと観客は救われないだろう。
観終わって近隣の花園神社を覗いたらちょうど豆撒きをやっていた。このあと丸の内に出て「三菱一号館」のカフェで一息ついて帰宅。夕方なので半額に値下げされていた恵方巻をガブリ丸齧りして今日もお仕舞い。