プロコフィエフの二つのヴァイオリン協奏曲はいずれもこのジャンルにおける傑作として、今なお多くのヴァイオリニストによって繰り返し愛奏され、実演の機会も録音も枚挙に暇がない。
五曲あるピアノ協奏曲は曲によって演奏頻度の差こそあるものの、少なくとも第一、第三、第五番の三曲はすでに20世紀の古典としてレパートリーの仲間入りを果たしているとみてよかろう。
それらと比して、理不尽なほどに不遇な扱いを受けているのが彼のチェロ協奏曲である。そんな曲が果たしてあったか、と訝しく思う人すら少なくないのではないか。
実を云うと、プロコフィエフは生涯でチェロと管弦楽のための協奏作品を四つも書き遺している。でもそれらをすべて聴いたという人は殆どいない。
まずはその「知られざる」四曲を列挙してみよう。
チェロ協奏曲 第一番 ホ短調 作品58 (1934~38年作曲、1939年初演)
チェロ協奏曲 第二番 作品番号なし (1950~52年作曲、1952年初演)
チェロと管弦楽のための交響協奏曲 作品125 (1952年作曲、1954年初演)
チェロ小協奏曲 ト短調 作品132 (1952年作曲・未完、1956/60年初演)
(まだ書き出し)