当ブログ左の「自己紹介」欄で「好きな作曲家」の筆頭にパーシー・グレインジャーの名を掲げながら、このところすっかりご無沙汰している。実演に接する機会といえば2006年11月の連続演奏会「よみがえるパーシー・グレインジャー物語」以来ずっと途絶えたままだし、CDの全作品録音プロジェクトも十九集まで出たきり頓挫した。このところ目新しい話題がなかったのだ。
実は先日、十数年ぶりにケン・ラッセル監督の『夏の歌』をDVDで観直した。すべてのシーンを空で暗記しているにもかかわらず、こみ上げる感動を抑えきれなかったのだが、盲いた老ディーリアスの周囲で誰もが怖気づき、腫物にでも触るように振る舞うなか、ひとりトリックスターよろしく天衣無縫に飛び跳ね、駆け回るグレインジャーの登場場面がことのほか印象的だった。グレインジャーはディーリアスが心を許した数少ない親友だったのである。
そんなことをつらつら考えていたら、こんなディスクが中古屋の店頭で目に飛び込んできた。なんという偶然であろうか。
"Lincolnshire Posy: Music for Band by Percy Grainger"
パーシー・グレインジャー:
モールバラ公のファンファーレ
組曲「リンカンシャーの花束」
愉快な王様
子供の行進曲(丘を越えて遙かに)*
コロニアル・ソング
モリスもどき
ガムサッカーの行進曲
岸辺のモリー
スプーン・リヴァー
あとがき*
ワムフレイの若者たち
愛蘭、デリー州の調べ
シェパーズ・ヘイ
ジェリー・ジャンキン指揮
ダラス吹奏交響楽団
アーツ・ディストリクト・コラール*
2008年8月23~24日、ダラス、メイヤーソン・シンフォニー・センター
Reference Recordings RR-117 (2008)
グレインジャーの音楽の懐の深さは格別だ。おおらかで屈託なく野放図で、しかも繊細で味がある。この途轍もなく胸を締めつける懐かしさはどこから来るのだろう。