ネット上の連載「バレエ・リュスと日本人たち」第四回目の最終点検を終え、いよいよ明晩にはアップされる手筈が整った。
当初の心積もりでは月半ばに仕上げる予定が、思いのほか執筆に手古摺ったのは夏の暑さのせいなのか、それとも小生の怠慢の故か。この調子では終了までに三年を要することになりそうだ。それまで惚けずに生きていられればいいのだが。
帰宅が遅くなった。疲れてしまって今日はもう読書する余力は残っていない。なので風呂上がりはぐっと渋くエルガーでも聴こうか。
エドワード・エルガー:
交響曲 第二番
序曲「コケイン(ロンドンの下町で)」
アンドレ・プレヴィン指揮
ロンドン交響楽団
1993年11月、ロンドン、アビー・ロード・ステュディオズ
Philips 442 152-2 (1994)
エルガーの交響曲なぞ滅多に聴きたくならない。ときに美しくはあるが重たく晦渋で、全体としては長大でうんざりさせられてしまう。ところがどうだろう、このプレヴィンの演奏で聴くと、退屈とはまるきり無縁、むしろ手に汗を握るとでも言いたくなるほどの興奮を覚える。決して演出過剰なわけではないのだが、語りかけが巧妙なものだから、一刻たりとも耳が離せなくなるのだ。中身の充実した音楽をたっぷり聴いた満足感が残る。第一番のディスクもあるようなのでいずれ手にしてみたい。
フィルアップの「コケイン」は一転して放縦なほどに開放的な音楽。大抵の演奏はいささか野卑に傾きがちなのだが、流石にプレヴィンは細部の彫啄を怠らず、野放図のなかに繊細さも備えた「町っ子」としてのコクニーの肖像を描きだして見事だ。