体調を崩して寝ている。夏風邪かもしれない。微熱が出て体のほうぼうが痛い。
なので今日は朝からずっと寝床のなか。連載原稿「バレエ・リュス」第三回目のレイアウト版が届いたので目を通しつつ、音楽を小さい音でかけて静かに過ごす。
なんとなく若杉弘さんのことを考えていたら、こんな凄いロング・インタヴューが公開されていることに気づいた。聞き手はオペラ好きとしても知られる評論家の江川紹子さん。若杉さんが新国立劇場の芸術監督に決まった直後、2007年1月30日に行われたインタヴューだそうで、『音楽の友』誌に掲載されたものの「ノーカット完全版」という(「
オペラを愛しぬいて~若杉弘氏のご逝去を悼む」
→ここ)。
若杉さんが自らの生い立ちからオペラとの出逢い、海外に進出した経緯、芸術監督としての抱負や夢をたっぷり語っている。これまで誰も知らなかった若杉さんの素顔を垣間見ることができる秀逸なインタヴューなのでぜひご一読あれ。
これを読むにつけ、新国立劇場のピットで振る若杉さんを一度も聴かなかったのを今更のように悔やんでいる。ツィンマーマンの『軍人たち』に食指が伸びなかったのは仕方ないとして、どうして山田耕筰の『黒船』を見逃したのか。せめて中劇場での『ペレアスとメリザンド』演奏会形式上演(昨年6月)には足を運ぶべきだったと後悔している。若杉さんは『ペレアス』の日本で二度目の全曲演奏(1973年5月25日/読売日響 第93回定期)を成し遂げた張本人であり、それを聴いた者としては再度なんとしても耳にしておくべきだった。
せめてもの慰めは、若杉さんが強く推した(に決まっている)『ポッペアの戴冠』の演奏会形式上演(2009年5月15日/指揮=鈴木雅明)に辛うじて遭遇できたこと。当日はいろいろ毒づいたけれど(
→ここ)、オペラを広く四百年のスパンで捉えようとする若杉芸術監督の意欲はしかと受け止めた。