巷では今日から夏休みなのだそうだ。おまけに三連休の初日とかで車で出掛ける家族連れをほうぼうで見かける。ただし空模様は今ひとつ思わしくなく、先ほどからポツリと降り出したところだ。
当方は別棟の書庫から必要な書目を更に何冊か運んできて、連載執筆の続きに取りかかる。今日のうちに目鼻がつくといいのだが。
根っからの天の邪鬼なので、季節とはまるで正反対の音楽をかけようと思いつく。いやなに、先日たまたま目にしたCDなのであるが。
"Russian Christmas"
リムスキー=コルサコフ:
歌劇『雪娘』組曲 ~序奏、鳥の踊り、行進、軽業師の踊り
チャイコフスキー:
交響曲 第一番「冬の白昼夢」*
劇音楽『雪娘』~前奏曲、メロドラマ、軽業師の踊り
ワシーリー・シナイスキー指揮
BBCフィルハーモニー管弦楽団
2004年7月5日*、6日、マンチェスター、新放送会館スタジオ7
BBC Music BBC MM248 (2004)
思いっきり寒そうな露西亜の冬の音楽。同じ民話に基づくR=コルサコフとチャイコフスキーの「雪娘」、さらにチャイコフスキーの第一交響曲を組み合わせた選曲の妙に惹かれる。演奏もなかなかに繊細。尤も録音は七月の暑い盛りに行われたらしいのだが。シナイスキーの指揮は1988年にレニングラードで実演を聴いたことがある。
メンデルスゾーン:
「静かな海と平穏な航海」*
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調**
カール・チェルニー:
交響曲 第一番 ハ短調***
ヴァイオリン/タズミン・リトル**
ニコラス・ブレイスウェイト*、ユリエン・ヘンペル***指揮
アルスター管弦楽団
ステファン・ソリオム指揮**
BBCスコティッシュ交響楽団
2003年1月14日、ベルファスト、アルスター・ホール
2005年2月25日、アバディーン、ミュージック・ホール(実況)
2002年4月9日、ベルファスト、アルスター・ホール
BBC Music BBC MM260 (2005)
これまた雑誌の附録CDなので安価で手に入れたが演奏は上質。とりわけ英国が誇る閨秀提琴家タズミン嬢のすっきり透明なメンデルスゾーンは聴きもの。正規盤はないはずなのでこれは頗る貴重。ディーリアスの協奏曲の実演に接したときの感動が甦ってくる。ピアノ教則本で名のみ高いチェルニーの交響曲も堂々たる佳曲だ。
チャールズ・アイヴズ:
ニュー・イングランドの三つの場所
交響曲 第三番「キャンプの集い」
ピアノ・ソナタ 第一番
ウォルター・ヘンドル指揮
アメリカ録音協会管弦楽団
リチャード・ベイルズ指揮
ナショナル・ギャラリー管弦楽団
ピアノ/ウィリアム・マセロス
1953、1950、1953年
El Records ACMEM146CD (2008)
いずれもチャールズ・アイヴズが辛うじて存命中の録音である。晩年ようやく訪れたルネサンスに隠居中の作曲家は嬉しさと戸惑いを隠せなかったそうな。これらの演奏は1954年の彼の死に間に合ったのか。今日の基準からすれば精度のいささか低い演奏で、オーケストラの氏素性も不確かだが、「アイヴズを聴いてごらんよ」。