昨夜半から今日の昼近くまで excite の都合でずっとアクセスできず、ご不便をおかけした。いやなにも当方から詫びなくてもいいのだが、とりあえずご寛恕をこいねがっておこう。
冒頭部分で躓いてずっと滞っていたバレエ・リュスの連載執筆は、昨夜ひょいと「正しい書き出し」を思いついたので、ようやく正面突破。あとは順序立てて書いていけばいい筈だ。どうやら思いのほか長大なものになりそうだ。ひょっとして当初の予定の三倍くらいになってしまうかもしれない。
「いくら長く書いても構いませんよ」という依頼主のご好意に甘えてしまおう。もっとも稿料はなし。正真正銘、混じりけなしの labour of love なのであるが。
暑い。むしろ熱い、といいたいほどだ。南向きの部屋は蒸し風呂さながら。家人はより涼しい隣室で寝転んで読書。傍らでは猫も腹を出して寝そべっている。
何を読んでいるのか尋ねると、Kate Chopin の評伝だそうで、書棚の奥からひょっこり出てきたのだという。米国の19世紀の女性作家で、クレオール系の男性と結婚し「ショパン」姓を名乗った。なんでも昔、英語学校のリーディングで短篇を読んでずっと心に残っていたのだという。
ケイト・ショパンの代表作は『めざめ』といい、これは三十年ほど前に邦訳が出ていた。すぐゾッキ本になって百円か二百円でたやすく入手できたものだ。間違いなく架蔵しているはずなのだが、どこにあるか見当がつかない。ほかにちょっと探し物があったので別棟の書庫を漁っていたらたちまち汗みずくになってしまう。
半ば諦めかけていたら、ペーパーバック版
The Awakening (Bantam Books, 1981)が忽然と姿を現した。いつどこで手に入れたものかとんと記憶にない。しかもここには家人がぜひ再読したいというその短篇 "Désirée's Baby" もちゃんと収録されている。ほらね、わが書庫はちょっとした古本屋並の宝の山なのだ、と口にしかけて、藪蛇になりそうなのでやめておく。