あれはたしかBBC Music 誌の数号前だったと記憶するのだが、ネーメ・ヤルヴィがプロコフィエフの「新作」をレコーディングしたとの記事が載っていた。
1936年にミハイル・ロンム監督の映画『スペードの女王』のために書かれたまま、映画の製作中止に伴いお蔵入りになった音楽を、現代の作曲家マイケル・バークリーが再編成し、管弦楽編曲を施した組曲なのだという。
そこまで読んで合点がいった。その音楽だったら知っている。知っているどころか、その楽曲に拠るバレエの上演を見聞しているのだ。昨年五月に訪英した際、倫敦に着いた翌日、幸運にもコヴェントガーデン歌劇場で初演の舞台に遭遇したのである。"Rushes" と題された新作バレエがそれだ(
→その日の日記)。
その数日後プロコフィエフ財団のノエル女史やフィオナ嬢と話したら、「あのバレエはちょっと感心しないわ」と否定的な評価を下されていたので、これは編曲としては失敗作で、もう聴く機会はないものと半ば諦めていた。
それがどうだろう、一年後に早くも音盤化されるなんて思ってもみなかった。しかも当代屈指のプロコフィエフ指揮者ネーメ・ヤルヴィのタクトによる演奏。これはもう聴く前から心が躍る。
プロコフィエフ:
交響組曲『スペードの女王』(マイケル・バークリー編/バレエ『ラッシズ Rushes』)
オラトリオ『平和の守り』
メゾソプラノ+朗読/イリーナ・チスチヤコーワ
ボイ・ソプラノ/ナイアル・ドカーティ
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団少年少女合唱団
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団合唱団
ネーメ・ヤルヴィ指揮
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
2008年11月10、11日、グラズゴー、ロイヤル・コンサート・ホール
Chandos CHAN 10519 (2009)
(まだ聴きかけ)