いやはや雨が降りそうで降らない。なんとも蒸し暑くてやりきれない。これから梅雨が一月半もあるのかと考えるだけで鬱陶しい。憂鬱だ。
六月なので暦の上の季節はもう夏。からりと晴れて爽快な欧羅巴の夏が羨ましい。ということで、涼風が吹き過ぎるのを肌に感じるような音楽を。
「夏の歌 《ソング・オブ・サマー》 ディーリアス名演集」
フレデリック・ディーリアス:
ブリッグの定期市──イギリス狂詩曲
夏の庭園で
エヴェンテュール(むかしむかし)
夏の歌
ヴァーノン・ハンドリー指揮
ハレ管弦楽団
1981年9月、マンチェスター、フリー・トレード・ホール
東芝EMI TOCE-7305 (1991)
この演奏はLP時代たしかに聴いた憶えがあるのだが、ひょっとするとCDでは初めてかもしれない。
たいそういい。沸々と湧き出る情感を抑制せず直截に表出するところが好もしい。バルビローリとはおよそ対蹠的な「夏の歌」。でもこれがいいのだ。
昨年五月、英京カドガン・ホールでのロイヤル・フィルの演奏会を楽しみにしていたら、ハンドリーは病気で出演できなくなった。帰国後ほどなくして訃報に接し、千載一遇の機会を逃したことを悟った。返す返すも残念なことだ。