あれれ、これが終わりなのか、と思ったらどうやら続篇があるらしい。張りっ放しの伏線も未解決の謎もいろいろ残っている。大団円は次作ということか。やれやれ。
夜更かしして読み耽った翌朝なので活字から少し離れて、聴きそびれていたCDを順々にかけよう。外は雨降り、家人は英会話教室へ出掛けてしまった。
モラヴィアのヤナーチェクから少し離れてボヘミアの都へ。1947年から68年までの「プラハの春」音楽祭の実況録音を続けざまに聴く。
"The Prague Spring Festival"
チャイコフスキー: 交響曲 第四番
エヴゲニー・ムラヴィンスキー指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1957年6月3日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲 第三番
ピアノ/レフ・オボーリン
レオポルド・ストコフスキー指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1961年5月20日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
マルティヌー: 交響曲 第六番
シャルル・ミュンシュ指揮
プラハ放送交響楽団
1967年3月27日、プラハ、ルドルフィヌム(実況)
ストラヴィンスキー: 「春の祭典」
イーゴリ・マルケヴィチ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1959年5月30日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
ベートーヴェン: 「コリオラン」序曲
ジョージ・セル指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1959年6月3日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
ベルリオーズ: 幻想交響曲
アンドレ・クリュイタンス指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1955年5月30日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
ドヴォルジャーク: 交響詩「野鳩」
ヴァーツラフ・タリフ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1954年5月17日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
スメタナ: 交響詩「ボヘミアの草原と森から」
カレル・アンチェル指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1968年5月12日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
モーツァルト: ピアノ協奏曲 第二十番
ピアノ/スヴャトスラフ・リヒテル
キリル・コンドラシン指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1950年5月23日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
プロコフィエフ: ヴァイオリン協奏曲 第一番
ヴァイオリン/ダーヴィド・オイストラフ
ラファエル・クベリーク指揮
プラハ交響楽団
1947年5月15日、プラハ、スメタナ・ホール(実況)
Andante AN 2150 (2005)
いきなりムラヴィンスキーがチェコ・フィルを振った稀少な演奏にたじろぐ。後年はまるで振らなくなるチャイコフスキー「第四」、客演でも妥協は全くない。ストコフスキーとオボーリンがプラハでラフマニノフを奏するというにも想像を絶するし、マルケヴィチが「春の祭典」を、セルがベートーヴェンを、クリュイタンスが「幻想」を引っ提げて客演というのも嘘みたいな贅沢。
1950年のリヒテルは彼にとって初の国外演奏だし、タリフ、クベリーク、アンチェルのプラハ実況揃い踏みにも目が眩む。小生の知る限り、アンチェルとクベリークを除いてすべて初めて耳にする演奏ばかり。この四枚組は数ある Andante シリーズ中、トスカニーニとワルターのザルツブルクでのオペラ実況録音と並んで最も価値の高いセットかもしれない。