明日と明後日の講演は準備不足も手伝って、いろいろ不確定なところが付き纏う。出たとこ勝負の気味がある。大丈夫なのか。
明日はソクーロフの映画上映の幕間トークなので、できるだけコンパクトに要領よく。そのためDVDや静止画像ファイルや配布資料を拵え、先方に手渡してある。なので準備はもう終わったも同然。あとは限られた時間内にどう話すかだ。
明後日は宇都宮で「日本の表現主義」について話さねばならぬ。これは難題である。一時間半がだらけぬよう、前もって話の筋道をつけておく必要がある。今朝から家人に手伝ってもらって静止画像をパソコンに取り込む。せっせと作業して約三十枚になったところで時計を見ると午後三時。このあたりでもういいだろう。それらを紙芝居よろしく投影していけば、自ずとプロットが生まれ、話に弾みがつくはずだ。あとは運否天賦。なるようになるだろう。
夕刻が近づいたので、家人を誘って電車と地下鉄を乗り継いで築地へ赴く。
朝日新聞本社に記者の中島鉄郎さんを訪ね、お預けしてあったユーミン関連の資料を引き取る。
近所の喫茶室で中島さんの語るには、土曜版 be on Saturday「うたの旅人」に載った記事は反響が頗る大きく、感想をしたためた葉書・封書が続々と寄せられたという。当時「林パック」を通じてユーミンを知り、今でもその思い出を大切にしている人が数多くいる。林さんがこれを知ったらさぞかし喜んだことだろう。
ともあれ、小生の昔語りや提供した資料が執筆に役立てられたのは嬉しいことだ。
せっかく築地までやって来たのだからと、新聞社に隣接する浜離宮朝日ホールへ。珍しく室内楽の演奏会を聴いてみる気になった。
NHK交響楽団メンバーによる室内楽シリーズ2009 第三回
浜離宮朝日ホール 19:00~
ハープ/早川りさこ
フルート/甲斐雅之
ヴァイオリン/森田昌弘
ヴィオラ/坂口弦太郎
チェロ/銅銀久弥
ロパルツ: 前奏曲、マリーヌとシャンソン [fl, vn, va, vc, harp]
ドビュッシー: 亜麻色の髪の乙女 [vn, harp]
ドビュッシー: フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ [fl, va, harp]
ウーディ: ハープ・ソナタ [harp]
フォーレ: シシリエンヌ [vc, harp]
ダマーズ: 五重奏曲 [fl, vn, va, vc, harp]
(アンコール)マスネ: 「タイース」の瞑想曲 [fl, vn, va, vc, harp]
お目当ては冒頭のロパルツ。この曲が小生の永きにわたる鍾愛の音楽であることは二年ほど前に記したことがあった(
→ここ)。もう四十数年来のフェイヴァリットなのに、生演奏に一度も接したことがない。レコードだってこの五十年間でわずか四種類を数えるのみ。そもそもジョゼフ=ギー・ロパルツという作曲家の存在が殆ど知られていないし、フルート、ハープ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという異例の編成も、奏される機会が乏しくなる一因だろう。
今夜わざわざ足を運ぶ気になったのも当然である。このままでは一度も実演を耳にせず身罷ってしまいかねないからだ。聴かずに死ねるか。
(まだ書き出し)