熟睡して遅く起きた朝、家人は踊りの稽古に出掛けている。
冷蔵庫を開け、チチヤスのヨーグルトを取り出して蓋を取ろうとしたら、TVで「今日はヨーグルトの日です」と報じているのを耳にした。「ヨーグルトの日」とは初耳である。なんでも、ヨーグルト食の提唱者であるイリヤ・メチニコフ博士(1845~1916)の誕生日が今日なのだという。
メチニコフのことは小学生時代から知っている。例に拠って切手収集の賜物である。ソ連時代に記念切手が出ていたから、岩波西洋人名辞典で調べたのだ。
優れた生物学者・免疫学者だったメチニコフは白血球の食菌作用を研究して1908年ノーベル医学賞を受けた。また、ブルガリアの長寿村での見聞から、ヨーグルトの摂取により大腸菌を駆逐すれば老化を防げるとし、ヨーグルト常食を提唱した。ただし、この説は誤りだったとされ、ウィキペディアの記述は「
現在ではヨーグルトを経口で摂取しても、胃において乳酸菌は、ほとんど死滅し、腸には到達しないことが判明している」と実にそっけない。それにメチニコフ自身からして、さほど長命でなかった。
とはいうものの、「ヨーグルトは体に良い」という全世界的コンセンサスが醸成されるうえで、メチニコフの推奨はまことに影響力甚大であった。その意味で、彼の誕生日が「ヨーグルトの日」として顕彰されるのは故なしとはしない。もっとも、これを提唱したのは「明治ブルガリア・ヨーグルト」の明治乳業である由。納得。