発売が予告されていたオペラの新譜をようやく手にした。
といっても昨今の録音ぢゃない。もう四十六年も前の音楽祭実況である。
ドビュッシー:
ペレアスとメリザンド
ペレアス/ハンス・ウィルブリンク
メリザンド/ドニーズ・デュヴァル
ゴロー/ミシェル・ルー
アルケル/フース・フークマン
ジュヌヴィエーヴ/アンナ・レイノルズ
イニョルド/ロジーヌ・ブレディ
医師/ジョン・シャーリー=クァーク
ヴィットーリオ・グイ指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
グラインドボーン歌劇場合唱団
1963年夏、グラインドボーン歌劇場 (祝祭実況)
Glyndebourne GFOCD 003-63 (2009)
ドニーズ・デュヴァルがメリザンドに扮するなんて思いもよらなかった。でも考えてみたらフランスのリリック・ソプラノの彼女がドビュッシーのヒロインを演じ歌うのになんの不思議もありはしない。
なのにこれまで想像だにしなかったのは、デュヴァルの名が余りにも強くプーランクの諸作品と結びついていて、少なくもレコードでは彼女のドビュッシーを聴く機会はこれまで皆無に等しかった。さらに、フォリー=ベルジェールという彼女の出自(踊り子時代にプーランクとコクトーに見出された)は「下世話な」プーランクやラヴェルはともかく、「聖なる」ドビュッシーの歌劇にはなんだか似つかわしくないように思えてしまう。先入観とはかくも恐ろしい。
ところがどうだろう、この素晴らしさは!
フランス人のメリザンド姫、オランダ人のペレアス王子、指揮者がイタリア人で、オーケストラは在ロンドン、そして舞台はイングランド郊外の私設歌劇場。これで果たしてドビュッシーの玄妙な響きが醸せるのだろうか。
半信半疑で聴き始めたら、心配はほどなく杞憂であることが判明した。
なんと芳醇に奏でられたドビュッシーだろう!
(まだ書き出し)