いつも執筆に苦労している月刊雑誌の連載「旅するアート」の締切は二十五日と定められている。だから毎月十日頃になると採り上げる美術作品を決定し、月半ば頃から材料を集めつつ構想を練り始め、二十日前後からはいよいよ真剣に悩み出し、二十四日ともなれば苦心惨憺の果てに七転八倒する。
短い原稿にこんなに手間暇かけねばならないのも、日頃の怠慢と無知蒙昧の故。身から出た錆。次回もご多分に洩れず俄勉強なのが恥ずかしい。
編集部から連絡があり、今月はいつもよりも締切が一週間ほど早まるという。
当然の成り行きだ。月末から来月上旬にかけての黄金週間(←死語か)は印刷所も連休なので、その分すべての制作進行が前倒しになるという理屈なのだ。御説ご尤も。なので、明日あたりからまたもや輾転反側の日々が始まる。辛いなあ。
次回のテーマとして選んだのはアンリ・ルソー。
しがない素人画家である税関吏ルソーと「旅」、といえば「あの話しかない」。
そうだ、明日はこのアンリ・ルソーを主人公にしたケン・ラッセル監督の古いTV映画『いつも日曜日 Always on Sunday』(1965)を見直してみよう。