倫敦のバービカン・シアターで蜷川幸雄の演出になる『十二夜』が二十四日に初日を迎えたそうだ。NHKの英語ニュースが報ずるのを見聞した家人が興奮気味にそう教えてくれた。そうか、あの驚嘆すべき歌舞伎版シェイクスピアがとうとう英京の観客の前でお披露目されたのかと思うと胸が一杯になった。
これはバービカンが毎年やっている世界のダンス・音楽・演劇を選りすぐった "bite" すなわち Barbican International Theatre Events の二十五周年を寿ぐ記念興行だそうで、蜷川は過去にこの祭典に五回招かれ『ハムレット』『コリオレイナス』などを披露している。とはいえ、今回の『十二夜』は純然たる歌舞伎興行であり、さしもの倫敦っ子も目を瞠ることだろう。
一昨年の夏、歌舞伎座での再演時に小生もまたその舞台に恍惚となって、当日のレヴューを上ずった調子でこう締め括った。
ああ、この舞台をわが黎明期の先人たち、坪内逍遙や小山内薫や松居松葉に一目見せたかったなあ。シェイクスピアを歌舞伎として演じるところまで、あなた方が種を蒔いた日本演劇は成熟したんですよ、と呼びかけたい気持ちでいっぱいになった。
この『十二夜』こそ、外国へ持って行くべきではないか。いつの日か、引越興行でこれをロンドンの観客に見せてやりたい。ほら、シェイクスピアは歌舞伎だったんですよ、と胸を張って言ってみたい。
このときは夢のまた夢、というつもりでこう書いたのだが、思い掛けなくそれが正夢となったのが嬉しくてならない。
まだネット上には現地の批評は見当たらないので、とりあえずバービカンのHPの紹介記事(
→ここ)を紹介しておこう。