昨年の生誕百年マキノ雅弘記念上映の際に見逃した一本を新文芸坐の「錦之助映画祭り」で。江戸の仇を長崎で打つやうな塩梅だ。
弥太郎笠
1960
東映京都
監督/マキノ雅弘
原作/子母沢寛
脚本/観世光太、村松道平
出演/中村錦之助、東千代之介、丘さとみ、日髙澄子、大河内傳次郎、千秋実、藤田進、田中春男 ほか
1952年に鶴田浩二主演で撮られた『彌太郎笠 前・後篇』(新東宝)のリメイクで、脚本も使ひ回しらしいのだが、尺数は遙かに短く、時間にすると一時間近く刈り込まれてゐる。なのに急いたところは少しもなく、男女の心の通ひ合ひはじつくり情緒豊かに描かれ、村祭りの踊りもたつぷり。それでゐて、殺陣の演出にはぐつと力が籠つてゐるところは流石だ。錦之助の凛々しさ、気風の良さが堪能できる秀逸な作。
今回の上映用に焼かれたらしいニュープリント。モノクロなので有難味はさほどでないが、コマが飛んだり、画面が荒れたりせず、安心して愉しめたのが難有い。
最終回の上映だつたので、帰宅したら深夜近い。それでも幸せな余韻がずつと尾を引くのがマキノならではだ。