土産の干物や蒲鉾をツマミに晩酌。食後はホット・カーペットに腹這いになる。
畏友Boe君の手掛けたドキュメンタリー番組が放映されるというので、むっくり起き上がって家人とともにTVの前に正坐。
NHK・BS1/22:10-23:00
未来への提言
人類学者エマニュエル・トッド
~アメリカ“帝国”以後の世界を読む~
2002年に『帝国以後──アメリカ・システムの崩壊』を上梓し、アメリカ経済の破綻を予言したフランスの人類統計学者エマニュエル・トッドをパリの国立人口統計学研究所に訪ねる。
かつて世界に先駆けてソ連社会の崩壊を予測したトッド氏は、この著作で9・11以後アメリカが推し進めるイラク敵視政策に警鐘を鳴らすとともに、過度に金融に依存する体質をも鋭く批判した。このままでは世界の問題の解決役はおろか、アメリカ自身が「世界の問題」になってしまうぞ、と。
彼がソ連とアメリカの社会に忍び寄る危機を誰よりも早く察知したのは、なんと乳児死亡率の異常なほどの高さからなのだという。
オバマ大統領就任は確かにアメリカの崩壊を遅らせる効果はあるだろう。だが米社会におけるシステム不在の根深さは想像を絶しており、この傾向はブッシュ政権より以前、クリントン時代からずっと続いている。オバマに対する過剰な期待は慎まねばならない。他の国々にとって、グローバル化と自由経済の破綻から身を守る方策は、ある種の保護主義、ブロック経済化であり、欧州諸国や中国が目前の危機を回避するにはこれよりほかに妙案はない、とする。
全く知らなかったのだが、トッドは作家ポール・ニザンの実孫なのだという! 「二十歳が人生で最も美しい年齢だとは誰にも言わせまい」の、あのニザンである。
では日米関係の今後はどうあるべきか。
トッド氏は対米追随そのものより、日本人自身の振る舞い、身の処し方にこそ真の問題があるとする。氏は端的に、「いつまでも大人になりたがらない子供」「上下関係に拘り、率直にものの言えない国民」だと喝破する。ヨーロッパと直接対話すべきだし、アジア経済をもっと主導すべきだ。
さらに、出生率の低下こそが日本の直面する最大の問題であると指摘する。高齢化、少子化からくる人口減少。移民の受け容れを拒み、ロボット開発に狂奔する国民、それが日本人ではないのか。
そして、この番組の恒例であるエンディングの「一言提言」。
差し出された色紙にトッド氏が記した言葉は「知的廉直そして現実主義」だった。