昨夕からの強い風が夜半になって一層ひどくなった。春一番なのだそうだ。海辺に住んでいるので、遮るものもないまま猛烈に吹きつける。ヴェランダで煙草に火が点けられない。
風呂上がりにTVを点けるとイヨネスコの『犀』の中継録画をやっている。面白いのか面白くないのかわからぬまま、なんとなく観てしまう。このまま夜更かししてはいけないのだが。
昨日、東京への往還の車中で聴いたCD。
ラヴェル:
歌劇『子供と魔法』
子供/パメラ・ヘレン・スティーヴン
ママ+羊飼/アン・マリー・オウエンズ
肘掛椅子+大時計+牡猫/デイヴィッド・ウィルソン・ジョンソン
安楽椅子+梟/フアニータ・ラスカロ
ティーポット+算術+蛙/マーク・タッカー
中国茶碗+牝猫/ジャクリーン・ミウラ
火+夜鶯+王女/エリザベス・フトラル
女羊飼+蝙蝠/メアリー・プラザス
樹/ロバート・ロイド
蜻蛉+栗鼠/リナット・シャハム
アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団、新ロンドン児童合唱団
1997年6月、ロンドン、アビー・ロード・スタジオ
Deutsche Grammophon 457 589-2 (1999)
いつ聴いても驚かされる。よくもまあ、こんな途方もない台本をオペラ化できたものだ。でも上演時は修羅場。歌手たちは時計になったり椅子になったり、茶碗やポットに扮して唄ったり踊ったり。トホホの着ぐるみ演技を余儀なくされる。書いたコレットもコレットなら、曲を附けたラヴェルもラヴェル。どっちが凄いのか。勿論どっちもだ。
で、演奏だが、フランス人抜きでここまでやれれば文句のつけようがない。プレヴィン指揮の芸の細やかさにほとほと感心。とはいうものの、ロリン・マゼル盤を凌駕するには至らない。なんといってもあれは信じがたい奇蹟の名演だったのだから。
ニールセン: フルート協奏曲
オネゲル: フルート、コール・アングレ、弦楽のための室内協奏曲
イベール: フルート協奏曲
プーランク: フルート協奏曲
フルート/ジェニファー・スティントン
ステュアート・ベッドフォード指揮 スコットランド室内管弦楽団
1991年、エディンバラ、クィーンズ・ホール
Collins 12102 (1991)
独奏がちょっと弱いが、取り合わせがなんとも秀逸な20世紀フルート協奏曲集。とりわけプーランクの協奏曲(もちろん、そんな曲は存在しない)はこの盤でしか聴けない極め付きの珍品だ。