TVを点けたらニコ・ピロスマニの絵が大映しになる。「女優マルガリータ」だ。
昨年の春、ひっそりと出版された画集『ニコ・ピロスマニ』(文遊社)の表紙を飾った名高い作品である。フランスから遥々グルジアまで巡業してきた女優マルガリータ(フランス女性だからマルグリットだろうか)に、貧しい放浪画家はぞっこん惚れ込んで、街じゅうの花屋から薔薇という薔薇を買い集め、彼女の逗留しているホテルの前庭を無数の赤い薔薇で埋め尽くしたという。まあこれはあくまでも伝説だから、どこまで本当のことかわからないが、誰もが信じたくなる。
加藤登紀子さんが唄って日本でも知られるようになった「百万本のバラ Миллион роз」。ソ連時代にロシア人歌手アラ・プガチョーワ Алла Пугачева がヒットさせた。ピロスマニ伝説をもとに膨らませたものだ。
(まだ書き出し)