いやはや、日頃の不勉強が祟って、書けるはずの原稿が滞ってしまった。
パウル・クレーが描いた駱駝の絵を採り上げ、彼のアフリカ旅行、音楽への関心、芸術信条を結びつけてサラリと書く心づもりでいたのだが、『クレーの旅』(新藤信・文、平凡社、2007)という本が出ていることに気付いたのが運の尽き。念のためちょっと読んでおこうと、自転車で千葉市中央図書館まで出向いて借りてきたこの本が、実に周到で奥深い一冊なのであった。1914年のクレーのチュニジア旅行をあらゆる角度から検証し、さまざまな問いを投げかける。
これを読んだお蔭で、それまで小生が考えていたプロットはどこかへ雲散霧消してしまった。一から出直し、気を入れて取り組まねばならなくなった。だからまだ一行も書けていない。ひょっとして今夜は徹夜になるのかも。
問題のその絵(
→これ)は、かつて美術館時代に展覧会で並んだことがあり、三箇月間ほぼ毎日飽かず眺めていたから、大丈夫すんなり書けると多寡を括っていたら、この体たらくだ。またしても泥縄作業と相成ったのが恥ずかしい。