英国の名指揮者ヴァーノン・ハンドリー Vernon Handley が亡くなったそうだ。たった今、
Sonnenfleckさんのブログのエントリーで知らされる。
ハンドリーは懐かしい名だ。小生がフレデリック・ディーリアスに入れ込んでいた頃、メレディス・デイヴィス、チャールズ・グローヴズに続いてディーリアスの新録音と取り組み、小品名曲集のほか、劇音楽「ハッサン」の史上初の全曲録音を成し遂げた人として、ハンドリーの名を胸に刻んだ。エルガーの劇音楽「星影急行(スターライト・エクスプレス)」を初録音したのも、たしか同じ時分だったと思う。もちろんLP時代のことだ。
英国音楽に好き嫌いのある小生は、決してハンドリーの熱心な聴き手ではなかったのだが、それでも彼がロンドン・フィルを振ったエルガーの交響曲二曲が、恩師エイドリアン・ボールトの衣鉢を継ぐ芳しい名演だったことを憶えている。
今年の五月、所用で久しぶりに倫敦を訪れた際、RPOの定期でハンドリーが聴けるのを楽しみにしていたのだが、当日になって「病気のため」キャンセルを知らされた。エルガーの弦楽セレナード、ウォルトンのチェロ協奏曲、ヴォーン・ウィリアムズの第四交響曲という盤石のプロだっただけに、これをハンドリーで聴けなかったのは痛恨の極みである(
→その日の旅日記)。思えばその頃からずっと体調を崩していたのだろう。
享年七十七。気品と格調と滋味溢れる英国音楽をしみじみ味わい深く聴かせる、おそらく最後の指揮者だったのだろう。
手許にあってすぐに取り出せるロンドン・フィル自主制作のエルガー五枚組(LPO 0016 0025)から、第二交響曲と歌曲集「海の絵」を聴いて、ハンドリー翁の冥福を祈ろう。後者はジャネット・ベイカーと共演した稀少な実況録音(1984)である。