いやはや、そろそろ寝ようと思ったら、ひょんなことからNHK・BSで深夜映画を観てしまう羽目に。
暗殺者のメロディ
ジョゼフ・ロージー監督作品
1972
出演/
リチャード・バートン、アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー、ヴァレンティナ・コルテーゼ ほか
出だしだけちょっとと思って観始めたら、もう駄目。じわじわ惹き込まれて最後まで観てしまった。
もちろん名画座のスクリーンで遭遇してはいるのだが、この後味の悪さ、どの人物にも感情移入を許さないクールで非情なスタイルは、二十代の若造にはちょっと馴染めなかった。ムーディな邦題とは裏腹に、原題はあらゆる思い入れを排するように、ただ "The Assassination of Trotsky" という。
再見してよかった。これはいかにもロージーらしい、苦い傑作だったからだ。
前に小倉英敬の
『メキシコ時代のトロツキー 1937‐1940』 (新泉社、2007)という本を手にしたとき、当然ながらこの映画のことを思い出した(そのときのレヴューは
→ここ)。今度は逆に、映画と再会が叶ったので、もう一度この書物を読み直してみたくなった。どこにしまい込んだか。
演劇青年時代をモスクワで過ごし、筋金入りのコミュニストだったジョゼフ・ロージーが、1972年というこの時期にトロツキー暗殺の映画を撮るに到った道程も知りたくなった。少しでもわかったら、いずれここで書いてみたい。