ずいぶん前アマゾンのマーケットプレイスに発注したものの、先方からは何の音沙汰もなく、もう届かないものと諦めていた、というよりも、注文したこと自体を忘れかけていたCDがひょっこり配達された。発送元は米国東海岸のニューヨーク州プラッツバーグという場所。
エストニアの無伴奏合唱曲集。
ただし演奏は英国の団体、指揮はデンマーク人というのがミソ。
アルヴォ・ペルト:
七つのマグニフィカト=アンティフォネン
マグニフィカト
スンマ
ヴェリヨ・トルミス:
鉄への呪文
カレリアの運命
ボー・ホルテン指揮
BBCシンガーズ
1996年2月8-16日、ロンドン、ナイツブリッジ、セント・ポール教会
Collins 14722 (1996)
もう十二年も前のディスクであり、しかも発売元は疾うの昔に倒産しているので、入手はきわめて困難。米国に在庫があったのは僥倖といわねばなるまい。
ペルトを後回しにして、まずはトルミスから聴く。
地元エストニアの合唱団の共感に満ち満ちた歌唱に慣れた耳にはいささか淡々と、あっさりしすぎる演奏に聴こえるのは致し方あるまい。とはいえ、五曲からなる名作「カレリアの運命」を聴き進めるにつれ、そうした無いものねだりはいつしか雲散霧消し、ひたすらに澄み切ったトルミスの不思議なハーモニーに包み込まれ、満ち足りた気持ちになる。
夜になっても部屋にはむっとする暑気がたちこめていたのだが、トルミスを聴くと、魔法のように一陣の冷気がサッと部屋を吹き過ぎる思いがした。これに勝る銷夏法はちょっとないかも。