普段フランス語とまるで縁遠い小生のごとき輩にとって、飯田橋の日仏学院や駿河台のアテネ・フランセといえば、映画鑑賞でたまさか訪れるばかりの場所である。
とはいえ、一歩足を踏み入れた途端、そこはすでにして少しだけ異国であり、耳に聴く流暢な会話といい、いずれ劣らぬ瀟洒な建物といい、行き交うお洒落なリセエンヌたち(これは幻かも)といい、もはや現実とも非現実ともつかぬ、夢の領域に近づいている。映画を観るための導入として、これはちょっとした舞台装置かもしれぬ。
今日、日仏学院のロビーに設けられたカフェで珈琲を啜りながら、ぼんやりとそんな想いに囚われていた。映画の開始までまだ間があるので、小路を隔てた別棟のブックショップ「欧明社」をちょっと覗く。ここには語学教材のみならず、各種の新着雑誌や、映画関連書籍などがいろいろあって、門外漢たる小生にも何か掘出物があるかもしれない。
十五分ほどほうぼうの棚を眺めて、最後に絵本やCD附きのオーディオ・ブックなどが雑然と並ぶ一郭に佇んで、思わずそこで眼が釘付けになった。こんなものが置かれていたからだ。
Marcel Pagnol: La Gloire de mon Père
Enregistrement inédit de texte integral interprété par Marcel Pagnol
Frémeaux & Associés FA 5160 (2006) 4CD
Marcel Pagnol: Le Château de ma Mère
Enregistrement inédit de texte integral interprété par Marcel Pagnol
Frémeaux & Associés FA 5174 (2006) 4CD
知らなかったなあ、こんなCDがあるなんて! そもそもマルセル・パニョルが晩年に書いた少年時代の回想(四部作の第一部『父の大手柄』と第二部『母のお屋敷』)に、作者自身の朗読が遺されていたなんて、今の今まで気づきもしなかった。ああ、長生きはしてみるもんだなあ!
(まだ書きかけ)