朝起きてカーテンを開くと、地上は真っ白。しかもさかんに降り積もっている。珈琲を呑みながらしばし思案していたが、意を決して外出。
昨日出向くつもりで果たせなかった江古田まで赴いて用事を済ます。雪は降り止む気配がなく、新雪をさくさく踏みながら人通りの途絶えた路を歩く。この街には珍しくもゴールデンバットが買える煙草自販機があるので、小銭全部を投入。雪景色を眺めながら一服する。ふう、至福のひととき。ここ半月ほどバットを切らしていたのだ。
ここまで来たからには、と江古田から西武線で富士見台まで足を伸ばす。目指すは当ブログではお馴染のカレー屋(というか旨い料理店)「香菜軒」。正午を少し回った頃に到着すると、「こんな日にわざわざ…」と挨拶される。たしかにそうだ。体の芯まで冷えきっていたので、まずはワイン、そして温かい料理を中心にいろいろ注文。
「大根のポタージュ」「手作りスモークチキン」「温かい蕪、海老とブロッコリーのクリームスープ」「賄料理(おでん風煮物)」「マトンのつくねとエリンギの串焼」…う~ん、どれもこれも旨い。しかもすこぶるナチュラル。
前回ここを訪れたのは小生(と店主の三浦さん)の誕生日の10月5日だったから、ざっと四か月ぶり。年末年始を慌しく過ごしたので、ついつい来そびれていた。ここは月一度は訪れたい店だなあ、とつくづく思う。富士見台に住んでいる人が羨ましい。
ワインをお代わりし、定番の「マトンのキーマ・カレー」、そしてチャイ、デザートの「ラズベリーとココナツのジェラート」までいただくと、さすがに満腹になる。ワインの酔いもいい具合に回って、ぽかぽか暖かくなる。
三時過ぎ、香菜軒をあとに雪のなかを駅へ引き返す。ほろ酔い気分で寒さ知らず。
池袋へ出てHMVをちょいと覗く。待ちわびていた新譜が店頭に並んだので、酔った勢いで素早く手に取る。
"Pierre Monteux in Boston"
ストラヴィンスキー: バレエ組曲「火の鳥」(1911年版)*
シュトラウス(ロジンスキ編): 組曲「薔薇の騎士」*
フランク: 交響詩「プシュケ」抜粋版**
ブラームス: ピアノ協奏曲 第一番***
ストラヴィンスキー: バレエ組曲「プルチネッラ」****
ピエール・モントゥー指揮 ボストン交響楽団
ピアノ/リオン・フライシャー***
1953年4月11日*、54年1月29日**、54年1月28日***、57年1月19日****実況
West Hill Radio Archives WHRA 6012 (2007)
うわあ、これはもう目も眩むほどのラインナップ。待ちきれずに地下鉄のなかで聴き始める。
モントゥーのライヴにつまらぬ演奏があろうはずがないのだが、それにしてもこれらの実況録音に漲る覇気と風格、音楽の構えの大きさは凄まじい。帰宅してからもこのCDをかけてニ嘆三嘆。言葉を失ったまま、ただただ聴き惚れる。これらの驚くべき演奏については日を改めて再説するほかなさそうだ。