気づいてみたらもう年の瀬。ほうぼうで松飾りが門口に設えられている。
こんな時節に何もしないのでは示しがつかないので、珍しく窓ガラス拭きなぞに精を出した。そのあとは、散らかし放題に山積みとなった本とCDの片づけ。不要不急のものを別棟の書庫へと運び出す作業。これがけっこう骨だ。読みかけの本、聴いていないCDが次々に発掘される。
途中から未聴のCDをかけながらの作業と相成った。
"American Ultramodernists"
デイン・ルディアー:テトラグラム 第八番
ルース・クロフォード: 前奏曲集 (九曲)
カール・ラッグルズ: 天使たち、エヴォケイションズ、オーガナム
ヘンリー・カウエル: ピアノのための小曲、フジヤマの雪、ルディアーを讃えて、生命の竪琴
ピアノ/シュテッフェン・シュライエルマッハー
2003年12月、バート・アロルゼン
MDG 613 5-2 (2005)
*その名のとおり(作曲当時は)ウルトラモダンだったピアノ曲を集めた硬派のCD。決して耳に愉しい音楽ではないが、こうして聴き較べるとルース・クロフォードの才能の卓越性がいっそう際立つ。凄い女性だなあ。
"Déodat de Séverac: INEDITS Oeuvres pour orchestre"
デオダ・ド・セヴラック: 「カタルーニャの行進」「黄昏のニンフ」「三つのレクエルドス」「ピペルメン=ジェ」「ミラージュ」「月明かりのセレナード」+組曲「ピナール王」(ベンツィ編)
ロベルト・ベンツィ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 ほか
2004年8月、9月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
Cascavelle RSR 6197 (2006)
*セヴラックの管弦楽曲は寡聞にしてひとつとして聴いたことがない…と思ったら、すべて inédits(初録音)なのだという。ちょっと野暮ったく、でも人懐かしい音楽ばかり。楽譜を探し出し、編曲までしたベンツィの労を多としたい。
"Unquiet Peace: The Lied between the Wars"
ワイル: 光のベルリン (ワイル詞)
アイスラー: 庭の水撒きについて (ブレヒト詞)
シュトラウス: 花綱を作ってあげたい (ブレンターノ詞)、悪天候 (ハイネ詞)
プフィッツナー: 秋の息遣い (リュッケルト詞)
ブゾーニ: ジプシーの歌 (ゲーテ詞)
ツェムリンスキー: 小人 (アルニム&ブレンターノ詞)
ワイル: マーゲイトの貝殻(石油の唄) (ガスバラ詞)
シェック: ささやかな願い (シュピッテラー詞)
シュトラウス: 星 (アルニム詞)
アイスラー: 子供の戦争唄
ワイル: カエサルの死 (ゲオルク・カイザー詞)
ビーネルト: モンソー公園 (トゥホルスキー詞)
ツェムリンスキー: 悲哀 (ラングストン・ヒューズ詞)
シェック: 黄昏は高みから降りてくる (ゲーテ詞)
ワイル: 歌曲集 「オフラーの唄」 (ユダー・ハレヴィ詞)
The New York Festival of Song
(ソプラノ/シンディア・シーデン、バリトン/ウィリアム・シャープ、ピアノ/スティーヴン・ブライアー)
1991年2月、3月、ニューヨーク州アストリア
Koch 3-7086-2 H1 (1992)
*ちょうど一年前に一度聴いたきりのCDを発掘。これが素晴らしく凝ったアンソロジーなのだ。ワイマール時代の光芒を凝縮したような、硬軟とり混ぜた卓抜の選曲。
バッハ (ロジェ・ヴュアターズ編): フーガの技法
ヘルマン・シェルヘン指揮 ベロミュンスター放送管弦楽団
1949年11月21日、チューリヒ
Archipel ARPCD 0251-2 (2004)
*今や(たぶん)五種類を数えるシェルヘンの「フーガの技法」録音の最初のもの。Decca のSP盤からの覆刻はお世辞にも上乗とはいいがたいが、それでも真摯な指揮ぶりに打ちのめされる。
"Extraordinary Vistas: Words & Music of the MacDowell Colony"
エロン・コープランド: Sleep is supposed to be (エミリー・ディキンソン詩)
ルース・クロフォード: Sunsets (カール・サンドバーグ詩)
ネッド・ローレム: Clouds (ポール・グッドマン詩)
デイヴィッド・ラコフスキ: Windy Nights (ロバート・ルイス・スティーヴンソン詩)
Filling Station (エリザベス・ビショップ詩)*
ヴァージル・トムソン: English Usage (メアリアン・ムーア詩)
ジョエル・フィリップ・フリードマン: What the Living Do (メアリー・ハウ詩)
ベス・ウィーマン: Night Thoughts (ジェラルド・ジョナス詩)
ベス・ウィーマン: The Act (ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ詩)
スコット・リンドロス: The Dolphins (リチャード・ハーティーズ詩)
Last Songs (ゴールウェイ・キネル詩)*
デイヴィッド・デル・トレディチ: Acrostic Song (ルイス・キャロル詩)
デイヴィッド・ダイアモンド: if you can't (e. e. カミングズ詩)
ロジャー・セッションズ: On the Beach at Fountana (ジェイムズ・ジョイス詩)
From "Sonny's Blues" (ジェイムズ・ボールドウィン詩)*
エロン・ジェイ・カーニス: Painting the Gate (メイ・スウェンソン詩)
デイヴィッド・ラコフスキ: To be Sung on the Water (ルイーズ・ボーガン詩)
トマス・モーリー: Christes Crosse
Teleology (メイ・スウェンソン詩)*
ジョン・ピール: La Figlia Che Piange (T. S. エリオット詩)
チャールズ・ウォーリネン: Lightenings VIII (シーマス・ヒーニー詩)
From "The Song of the Lark" (ウィラ・キャザー詩)*
エドワード・マクダウェル: In the Woods (ゲーテ詩、マクダウェル訳)
エロン・コープランド: Night (エロン・シャファー詩)
エイミー・ビーチ: Though I Take the Wings of Morning (ロバート・ネルソン・スペンサー詩)
ソプラノ/スーザン・ナルツキ、ピアノ/アラン・ファインバーグ
朗読/ネイサン・ランドール*
2001年1月、ニューヨーク
Americus AMR 20031020 (2003)
*マクダウェルが1896年に創設した芸術家コロニーゆかりの作曲家、詩人の作を集めた面白いアンソロジー。米国音楽の懐の深さを実感さす。