今日もまた秋日和。早起きして家人と一緒に二十キロ走った。といっても村上春樹ならぬわが身ゆえ、自転車に跨ってなのだが。
近所のサイクリング・ロードを川に沿って遡る。十五分ほど走ると周囲の眺望ががらりと変わり、長閑な田園風景が広がる。さらに十五分ほど行くと、人家が姿を消し、川岸に雑木林が迫って、山中を走っている気分。ここまで来ると道路は未舗装のまま、路肩の鉄柵も姿を消して、さながら人跡未踏の深山幽谷にでも迷い込んだ気分。今が21世紀だとはとても信じられなくなる。ここでなら『関の弥太っぺ』でも『瞼の母』でも『遊侠一匹』でもロケーション撮影ができそうだ。
ロードの終着点までざっと十キロ、五十分ほど走ったろうか。ここで水筒から茶を飲み、蜜柑を食べて休憩。
帰路はおおむね下り坂のはずだが、草臥れたのだろう、一時間近くかかって帰着。
そんなわけで午後は寝転がって読書と音楽でのんびり過ごす。英文の長いメールを書こうと思っていたのだが、ぐずぐずしているうちに夕方になった。ヴェランダへ出ると、西空に冨士山がくっきり濃紫のシルエットを浮かび上がらせる。いとも壮麗な眺め。