(承前)
キャロル・キングが来日中なのだそうだ。実に十七年ぶり、これが二度目だという。
もともとライヴが極端に少ない人だし、もう疾うに六十を過ぎているので、彼女の生演奏を見聞きするラスト・チャンスかもしれないと思う一方で、どうせなら彼女のソロ・リサイタルを聴きたいとの願望も強くあって(今回は三人のアーティストのジョイント・コンサート)、迷いに迷った末、涙を飲んで出かけるのを控えた。
今頃きっと武道館では彼女が「ナチュラル・ウーマン」を熱唱しているはずだ。
なんだか悔しくてならないので、今夜はせめて彼女のライヴ・アルバムを聴こう。
手許にある彼女のライヴは三種類。
1. "The Carnegie Hall Concert" 18 June 1971, New York.
2. "In Concert" 1993, Universal Amphitheatre, Los Angeles.
3. "The Living Room Tour" 2004-05.
『タペストリー』でスターダムに登りつめた絶頂期の
1. も、最後にクロズビー&ナッシュと掛け合いで「君の友だち」を歌う
2. も悪くないが、今夜はやっぱり
3. を聴こう。
山あり谷あり、近親者の死や長きにわたるスランプを辛くも乗りきり、六十を過ぎた今、すべてのこだわりを捨てて虚心に唄うキャロル・キング。
肩の力を抜いてリラックスしつつ、余裕たっぷりに音楽への愛を漲らせる。自信に満ちた歌声が会場を包み込み、いつしかホール全体に「ナチュラル・ウーマン」の大合唱が巻き起こる…。
こんなコンサートだったら、ぜひ行ってみたい。こうして居間で聴いているだけで涙が出てきてしまう。