昨夜、寝床でヴァルトラウト・マイアー Waltraud Meier が歌うリヒャルト・シュトラウスの「四つの最後の歌」を試しに聴いてみたら、これがじわじわと心に染み入る名唱。
元来ワーグナー歌手として名高い人だが、大仰に謳い上げる歌唱ではないところに好感を抱く。ピアノ伴奏で歌ったのも奏功したのではなかろうか。そのピアノがまた、たいそう味わい深い。ヨーゼフ・ブラインルという人だ。
これに味をしめて、今日はもうひとり、ロレイン・ハント・リーバーソン Lorraine Hunt Lieberson というメゾソプラノを聴いてみる。少し前に出たロンドンのウィグモア・ホールでの実況録音盤が目覚ましい出来だったので、もう一枚、バッハのカンタータのアルバムを試聴。
バッハ: カンタータ 第82番 「われは満ち足れり」、第199番 「わが心は血の海に泳ぐ」
クレイグ・スミス指揮 エマニュエル・ミュージック管弦楽団
2002年5月、エマニュエル・チャーチ、ボストン
Nonesuch 7559-79692-2 (2003)
これもたいそう良い。清潔で折り目正しい歌唱なのに、堂々と揺るぎない風格と大きさが感じられる。つくづく彼女の早逝が惜しまれる(2006年、肺癌で五十二歳で死去)。
今日はあれやこれやで鬱屈した一日だったのだが、この歌でようやく救われた気がした。人間の声は心の深いところで琴線に触れ、力を与えてくれますね。