東京での所用が夕方に及んだついでに、その足で新宿へ出て、久しぶりにディスクユニオンへ。売場拡張に伴うフェアとかで大変な混雑だ。やや怯んだが、せっかく来たのだからと隅から隅まで物色。ちょっとやそっとでは聴き尽くせない分量(CD17枚、DVD2枚)を持ち帰ったので、とりあえず紹介できるのはそのうちの数枚だ。
ラヴェル: 序奏とアレグロ、「亡き王女のためのパヴァーヌ」(フルート&ハープ)、ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
ドビュッシー: 「シュリンクス」、フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ、「ビリティスの歌」*
アンサンブル・ウィーン=ベルリン、朗読=カトリーヌ・ドヌーヴ(*)
1989、アーバーゼー(オーストリア)/1990、パリ[朗読]
Deutsche Grammophon 429 738-2 (1990)
*クラリネット=ライスター、フルート=シュルツ、ヴァイオリン=ヘッツェル&ホーネック…という贅沢な布陣。文字どおりベルリン、ウィーンの名手を糾合した水も漏らさぬアンサンブル、おまけに「ビリティスの歌」朗読のドヌーヴが錦上花を添える。
ドビュッシー: フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ、神聖な舞曲と世俗の舞曲
ラヴェル: 序奏とアレグロ
カプレ: 喜遊曲(ハープ独奏)、「赤死病の仮面」
ハープ=マリー=クレール・ジャメ、フルート=クリスティアン・ラルデ、ヴィオラ=ジャン・シュレム
ロザモンド弦楽四重奏団 ほか
1997、パリ
Pierre Verany PV 98092 (1998)
*ジャメもラルデもキャリアの長い名手だが、独墺勢に較べるとさすがに聴き劣りする「ゆるい」アンサンブル。とはいえ、ああ、フランスだなあ、という音色は隠れもない。とりわけ弦のハスキーな響き。怪奇趣味めいたカプレがなかなかの聴きものだ。
プロコフィエフ: 五重奏曲、ヘブライ主題による序曲、束の間の幻影、「古典交響曲」より ガヴォット、「三つのオレンジへの恋」より 行進曲
モスクワ現代音楽アンサンブル
1995、モスクワ
Triton DMCC 26008 (1997)
*短命だったトリトン・レーベルから出た同アンサンブルのアルバムの一枚(ほかにモソロフ、デニソフ、ウストヴォリスカヤがあった)。1915~24年の楽曲のみで構成され、前衛青年時代のプロコフィエフの面目躍如。後半三曲は後世の編曲であるが、「束の間の幻影」がとびきりの名演。音色のブレンド具合がまことに玄妙。
ショスタコーヴィチ: 弦楽四重奏曲 第八番
ティペット: 弦楽四重奏曲 第三番
デューク四重奏団
1988、バッキンガムシャー
Factory Facd 246 (1989)
*この頃とんと見かけない英国ファクトリー・レーベルのCD。モノクロ写真を使ったブックレットのデザインが渋く格好いいのが特徴。冴えたショスタコーヴィチも悪くないが、ティペットが瑞々しい情感を湛えた佳演だ。これで700円は安かった。
エルガー: 「エニグマ」変奏曲*
ヴォーン・ウィリアムズ: 「富者とラザロ」による五つのヴァリアント
ティペット: 「真夏の夜の夢」より 儀式の舞曲**
尾高忠明(*)、デイヴィッド・アサートン(**)指揮 ウェールズBBCナショナル管弦楽団
1997、2004、1995、カーディフ
BBC Music BBC MM 250 (2005)
*エルガーとティペットは実況録音。尾高の「エニグマ」が期待どおり委曲を尽くした好演である。お馴染の雑誌附録CDゆえ、これも安価。
ここまで聴いたらさすがに疲れた。寝るとしよう。明日は原稿を書かねばなるまい。