数日前、御喜美江さんのアコーディオンによるバッハに感嘆した。
そのとき、彼女のCDはこれで初めて、と書きながら、はてさてそうだったろうか、何かあったのでは…という気がしきりにした。
あったあった、やっぱり、ありました。御喜さんがハーモニカの名手、崎元讓(さきもとじょう)さんと共演したアルバムが棚の奥から出てきたのだ。
《ポエム・ハーモニカ 崎元讓&御喜美江》
バッハ: 主よ、人の望みの喜びよ
バッハ: ソナタ ト短調 BWV1020(原曲=フルート・ソナタ)
ヘンデル: ソナタ ト長調 作品1-5(原曲=フルート・ソナタ)
イベール:「物語」より 金の亀を操る女、水売り女、水晶の籠、小さな白い驢馬
三宅榛名: ポエム・ハーモニカ
三宅榛名: いちめんの菜の花
菅原明朗: 瞑想
宮前知永子: ポエレジー Ⅱ
ピアソラ: 忘却
ロドリゲス: ラ・クンパルシータ
フォスター: 草競馬
(2001年3月28、29日収録)
Camerata 28CM 674
以前、崎元讓さんが三宅榛名さんと共演する小さな会があって、その演目として「ポエム・ハーモニカ」を聴いたのであった。このときの愉しい思い出があったので、一昨年だったか、このアルバムを中古で見つけてさっそく買った。でも一度聴いたきり、愚かにもしまい込んでしまった。
改めて聴き直してみると、これが実に歓ばしいアルバム。ここでは御喜さんのアコーディオンは背後からハーモニカを支える場面が多いのだが、それでも随所でハッとするような瞬間を現出させる。
ここでもバッハが文句なしに素晴らしい。
それとは対照的に、イベールの可愛らしい小品のチャーミングなことといったら!
そして三宅榛名の摩訶不思議だがのびやかな世界。
大切な想い出の品々を集め匿す宝箱のような一枚。ぜひお試しあれ。