関東ではたしか水曜日に梅雨入りしたはずなのに、雨降りはその日だけで、あとはずっと真夏日が続いている。ひょっとして今年はカラ梅雨なのか。
今日など朝から雲一つない晴天で、じりじり照りつける陽射しに汗が吹き出る。それでも木蔭に入ると嘘のように涼しく、爽やかな微風が心地よい。
散歩から戻ると、ヴェランダでトレリス(垣根)の取り付け。五月初めに蒔いた朝顔がいつの間にか青々と葉を繁らせ、すくすく蔓を伸ばし始めている。この調子なら月末には垣のさらに上方に天井まで届くネットか、紐を張っておかねばならない。
そのあと午後はゆっくり寝転んで読書三昧を決め込んでいたところ、散らかり放題の部屋の片づけを家人から厳命される。
不要な本を処分するように、とのお達しなのだが、身銭を切り苦労して集めたのだから、要らない本など一冊たりともないぞと、そう正直に答えると角が立つので、唯々諾々と作業に取り掛かる。リヴィングと書庫を行ったり来たりし、とりあえず不急のものを箱に詰めていく。
面白そうな雑誌や懐かしい絵本を見つけると、ついつい頁を繰ってしまう。するとすかさず、傍らから叱責の声が飛ぶ。
1975年、単身で東京へ出てきたときは、文字どおり「身ひとつ」だったから、阿佐ヶ谷の下宿には机も椅子も、箪笥も冷蔵庫も、本もレコードも一切ナシ。
それから三十数年が経ち、いつの間にか事態は一変していた。レコードが八千枚、CDが一万枚、書籍雑誌は数知れず。一体全体、何がどうなったというのだ。