昨晩はちょっと余力がありそうなので、BSチャンネルで11時から映画を観ることにした。
フランソワ・トリュフォー監督 『逃げ去る恋 L'amour en fuite』1978
『大人は判ってくれない』に始まるトリュフォーの半自伝的連作「アントワーヌ・ドワネル」ものの第五作目、シリーズ最終作だ。主演はもちろんジャン=ピエール・レオー。もう三十代半ばに差し掛かり、冴えない中年男の面影が兆している。
本作中のアントワーヌ・ドワネルは別居中の妻と正式に離婚が決まり、すでに付き合っている若い愛人に加えて、過去に出逢った(そして別れた)女たちとの偶然の再会があって…という、シリーズを回顧しつつ締め括るようなストーリー展開。
当然、旧作のシーンのあれこれがインサートされるのだが、そのため楽屋落ちに堕してしまうところがあって、シリーズ中ではむしろ凡作なのではないか。トリュフォーの生前には本作が(第四作の『家庭 Domicile comjugal』とともに)日本では未公開に終わったのも、むべなるかな。小生が昔スクリーンで観たときは無字幕だったので、ほとんど初めて観る作品のように感じられる。
軽妙なタッチで運ぼうとする監督の意図に反して、画面はいっこうに弾まない。
パリのリヨン駅で昔の恋人に偶然出逢って、そのまま同じ列車で旅をするあたりから、ちょっと面白くなる(列車の通路やコンパートメントの扱い方がうまい)のだが、床に寝転がって観ていたからだろう、三分の二ほど進んだあたりで不覚にも眠りほうけてしまったので、感想もここまで。
気づいたら朝になっていた。TVも部屋の電灯も煌々とつけっぱなし。家人から怒られたのなんのって。しかも体のふしぶしが痛い。われながら愚かだなあ、アントワーヌ・ドワネル並みだなあ、とつくづく反省。