…ということで、銀座の教文館の六階「ナルニア国」で昨日からスタートした展示「
海とキャンプと冒険と ~アーサー・ランサムの世界~」を観に出かける。
実は昨日の朝もちょこっと覗いてみたのだが、ランサム歿後四十周年の節目のこの日、改めて足を運んでみた次第。
展示はランサム・サガ十二冊の舞台になったイギリス湖沼地帯を美しい写真で紹介するというもの。部屋の中央には茶色い帆の「ツバメ号」の(少々小さめの)モデルが鎮座している。
それぞれの写真にはランサムが描いた挿絵が添えられていて、両者を見比べると類似は明らか。むしろそっくりといってよい。いかに彼が実際の場所に即して物語を展開していったかがが一目瞭然なのだ。そうか、こと細かく記述されたヤマネコ島やツバメの谷やカンチェンジュンガは、本当に存在していたんだなあ、と改めて思い知らされる。書かれた時代から七十年経っても、ほとんど同じ自然環境や建物が保たれていることにも吃驚。さすが英国だなあ。
ひとしきり眺めてから、隣室の「恵泉銀座センター」での展示も観る。こちらは結成十九年になる「アーサー・ランサム・クラブ(ARC)」が取り仕切っていて、会員が湖沼地帯を訪れたときの写真アルバムや、ランサム・サガに因んだ百人一首(これが傑作なのだ!)、さまざまな関連書籍、これまでに発行した会報などを拝見。
ほどなく、当ブログの訪問者でもある foggykaoru さんやそのお仲間たちから声をかけられる。美味しい紅茶(これを内輪では「熱いラム酒」と呼ぶ)と手作りのケーキとパンをいただき、まるで旧知の間柄のように話が弾む。この状態をランサマイト(ランサム愛好者)の間では「もう知り合った」と呼び慣わすのである。
やがて小学四年生のシンバット嬢がご両親とともに登場。foggykaoru さんのHPの掲示板で「今日行きます」と書き込みがあったので、「どんな子なのだろう」と皆が興味を抱いたのだ。案の定、なかなか賢そうな少女だ。ちょうどランサム・サガを全部読み通したところなのだという。もともとお母さんの愛読書だったのだそうだ。「どれが一番気に入った?」と尋ねると、「『海へ出るつもりじゃなかった』が好き」との答えが返ってきた。なるほどね。
そんなこんなで、二時間以上もここで愉しい時を過ごした。この部屋での展示とお茶会は6月17日(日)にもう一度やるそうだ(午後1時半から)。
来週はこのイヴェント最大の目玉である神宮輝夫氏の講演会がある。幸い入場券が抽籤で当たったので、もう一度「ナルニア国」に足を運ぶことになろう。
帰りの車中で、教文館の二階で見つけた塩浦彰『荷風と静枝 明治大逆事件の陰画』(洋々社、2007)を読み出す。凄い傑作の予感がする。詳しくは後日。