昨年末、熊本学園大学の太田丈太郎さんからスラヴ文化研究誌「スラヴィアーナ」第21号をご恵贈いただいた。この雑誌には太田さんの論考「歌舞伎のレニングラード:二世左団次と宮本百合子」が収載されており、今日それをじっくり拝読した。
実は先に太田さんの発表をじかに聞く機会があったのだが(昨年12月2日のエントリー参照)、その際には省かれていたデータも組み込まれ、いっそう緻密な内容に練り上げられており、心から感服した。
同号にはこのほか、鴻野わか菜さんによるイリヤ・カバコフ論、鈴木祐也氏のリシツキー論などの面白そうな研究、さらには小生の理解を遙かに超えた難解な論考も含め、いろいろと盛り沢山。時間をかけて読んでみよう。
今日、防衛庁が防衛省へと正式に格上げ。海外派兵も「本来任務」に含められた。その意味するところは誰の目にも明らかだ。なんとも腹立たしいニッポンの現実なのだが、むしろそれ以上に、さしたる反対運動も抵抗も起こらなかった、という昨今の状況こそが苛立たしい。もちろんこれは、自分自身の不甲斐なさをも含め、そう言っているのである。
昂ぶった気持ちをCDによって鎮める。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番、「ドン・ジョヴァンニ」序曲
バッハ:ピアノ協奏曲第5番 BWV1056
アンジェイ・チャイコフスキ(pf)、フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団
BMG BVCC-38397 (1958、59録音)
*初めてCD化された稀少な音源。ピアノはまあまあ。ライナーの堂々たる伴奏にばかり耳がいってしまう。
ミヨー:バレエ「世界の創造」、「プロヴァンス組曲」
プーランク:オルガン、弦楽、ティンパニのための協奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ「カルタ遊び」
シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団
BMG BVCC-38466 (1960、61録音)
*「カルタ遊び」が珍しい。ミュンシュ唯一のストラヴィンスキーだが、どうにも違和感が残る演奏。
マーラー:「さすらう若者の歌」「子供の死の歌」
モーリーン・フォレスター(contralto)、シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団
BMG BVCC-38456 (1958録音)
*LP時代に愛聴したフォレスターのマーラーがようやくCD化され嬉しい。このほか、フリッチャイとの「リュッケルトの五つの歌」も忘れがたい名唱なのだが。
とりあえず、これで眠ることだけはできそうだ。