雨音に気づいて遅く起きた朝は…というのはユーミンの歌詞そのままだが、まさにそれを地で行く始まり方をした、凍えるように寒い日。
冷たい雨はそのままずっと終日、やむ気配がまるでない。
東京では今日一日だけで、平年の十二月の降水量を二倍する大雨が降ってしまったのだという。
そろそろ今日も終わろうというのに、外ではまだじゃんじゃん降り続けている。ああ、今日は何もかもはかどらない一日だったなあ、読書も進捗しなかったし、書くはずだった原稿もさっぱり。
今もなお、窓の外は叩きつけるような雨。明日こそは降りやんでほしい。
昨日みつけて買ってきたCDを何度も繰り返し聴く。
ロシアの往時の女性ピアニスト、マリヤ・ユージナ Mariya Yudina(1899-1970)の放送録音を集めた一枚。プロコフィエフの「束の間の幻影」全曲、ショスタコーヴィチの第二ソナタ、ヒンデミットの二台ピアノのためのソナタという絶妙な選曲だ(Meldac Triton MECC-26027)。
とりわけ、「束の間の幻影」が凄い。スヴャトスラフ・リヒテルが全曲録音を遺さなかったので、ユージナのこの演奏こそは同曲の決定盤たりうるのではないか。ファンタジーが変幻自在、しかも底知れず深いのだ。