今日もそぼ降る雨のなか電車を乗り継いで、郊外の大学へ。さほど気温は低くないのだが、冴えない天候のせいでひどく肌寒く感じる。
ロシア絵本の調査も三日目、最終日である。今日も十時に作業開始。
すでに全冊に目を通したので、今日はひとつひとつ物差をあててサイズを測定。あわせて、表紙まわりをじっくり凝視する。見落としがあるかもしれないので。それにしても素晴らしいコレクションだ。改めて、ふうと溜息。
全61冊からなるコレクションを刊行年度で分類すると、
*1926‐29年/10冊
*1930年/ 8冊
*1931年/20冊
*1932年/19冊
*1933年/ 4冊
このような分布になる。これは吉原治良や原弘の旧蔵絵本も同様であり、彼らの入手径路が同一であることを如実に示している。
ナウカ社の創業者・大竹博吉は1931年から32年にかけてモスクワに長期滞在し、ソ連図書の独占販売権を入手すべく当局と折衝を行った。このとき彼はすでに同時代のロシア絵本の価値に気づいており、東京の留守宅の妻・せい宛てに多数の絵本を送付したと考えられる。そのなかの一冊、マルシャーク詩・レーベジェフ絵の「しましまのおひげちゃん」は1932年に大竹せいの手で日本語に訳され、ほぼ完全な形で紹介された。東京にナウカ書店が開業する直前のことである。
午後四時にすべての作業が終了した。
今回いろいろと便宜を計って下さった大学研究室に感謝するとともに、今年じゅうに何らかのレポートを提出しようと考えている。
帰りの車中では熟睡。根をつめた調査はけっこう疲れるものだ。