記憶のなかのヴァネッサを遡る来週になればヴァネッサ・レッドグレーヴをじかに観られる。
なあに、立見だっていいじゃないか。
2000年5月、テムズ河畔の小径を歩きながら、小生はひとり歓びを噛みしめていた。そして、スクリーンを通して観てきた彼女の面影を、とりとめもなく反芻し始めた。
もちろん「ジュリア」(1977)は思い出深い映画。その当時つきあっていた女性との初デートとして封切館で観たような記憶がある。その女性とは今も一緒に暮らしているような…気がする。
ジョン・シュレシンジャー監督の「ヤンクス」(1979)。共演はリチャード・ギア。
マイケル・アプテッド監督の「アガサ 愛の失踪事件」(1979)。共演はダスティン・ホフマン。
ジェイムズ・アイヴォリー監督の「ハワーズ・エンド」(1992)。
カーソン・マッカラーズの小説の映画化「悲しき酒場のバラード」(1991)では髪を短く切って、男性もたじたじの、凄みのある役づくりだったっけ。
ケン・ラッセル監督の「肉体の悪魔 Devils」(1971)。あの壮絶な魔女狩り映画にも、彼女は出ていたなあ。…
いやいや違う、そのようなフィルムではない、と小生は「第九」のベートーヴェンよろしく否定する。どれもこれも違うのだ。小生にとってのヴァネッサといえば、初めて彼女と出会ったあの映画。そうさ、それに決まっている。