「兵士の物語」ディスコグラフィ(CD篇 その2)
26)
アントニオ・プロティーノ指揮盤(フランス語版 L'Histoire du soldat)
語り手/ロラン・マンゾーニ Laurent Manzoni
ニュー・ミュージック・ストゥーディアム New Music Studium
ヴァイオリン/Raimondo Matacena
コントラバス/Alberto Boccini
クラリネット/Giampiero Sobrino
ファゴット/Rino Vernicci
トランペット/Francesco Tamiati
トロンボーン/Giancarlo Rosini
打楽器/Enrico Calini
指揮/アントニオ・プロティーノ Antonio Plotino
録音/1995年1月、トリーノ
独盤 Arts 47357-2
*フランス語による一人芝居版。廉価盤ながら、このイタリア勢による演奏はさしたる特色はないが、決して悪くない。出演者に関するデータの記載なし。併録は「八重奏曲」。
27)
ニコラス・ウォード指揮盤(英語版 The Soldier's Tale)
英訳/マイケル・フランダーズ Michael Flanders & キティ・ブラック Kitty Black
語り手/デイヴィッド・ティムソン David Timson
悪魔/ベンジャミン・ソームズ Benjamin Soames
兵士/ジョナサン・キーブル Jonathan Keeble
ノーザン室内管弦楽団メンバー The menbers of the Northern Chamber Orchestra
ヴァイオリン/Nicholas Ward
コントラバス/James Manson
クラリネット/Nicholas Cox
ファゴット/Catherine Baker
トランペット/David Carstairs
トロンボーン/Richard Scoates
打楽器/Paul Patrick
指揮/ニコラス・ウォード Nicholas Ward
録音/1995年11月7日、マンチェスター(Studio 7, Broadcasting House)
英盤 Naxos 8.553662
*オリジナルどおり三人の俳優を起用した英語版。これまた廉価盤ながら、英国勢による手堅い演奏。ナレーションもことさら個性的ではないが、ラジオ・ドラマ風の安定した仕上がり。併録は協奏曲「ダンバートン・オークス」。
28)
ロス・ポープル指揮盤(英語版 The Soldier's Tale)
英訳/マイケル・フランダーズ Michael Flanders & キティ・ブラック Kitty Black
語り手/ジェイソン・オマラ Jason O'Mara
ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団 London Festival Orchestra
ヴァイオリン/unidentified
コントラバス/unidentified
クラリネット/unidentified
ファゴット/unidentified
トランペット/unidentified
トロンボーン/unidentified
打楽器/unidentified
指揮/ロス・ポープル Ross Pople
録音/1996年3月18-19日、5月11日、ロンドン(The Warehouse)
独盤 Arte Nova 74321 37865 2
*英語による一人芝居版。これも廉価盤。アイルランド出身のオマラの語り口は抑制が効いた知的なもの。ロンドン勢による演奏は中庸の出来。
29)
シュロモ・ミンツ指揮盤(フランス語版 L'Histoire du soldat)
語り手/キャロル・ブーケ Carole Bouquet
悪魔/ジェラール・ドパルデュー Gérard Depardieu
兵士/ギヨーム・ドパルデュー Guillaume Depardieu
ヴァイオリン/Shlomo Mintz
コントラバス/Vincent Pasquier
クラリネット/Pascal Moraguès
ファゴット/Sergio Azzolini
コルネット/Marc Bauer
トロンボーン/Daniel Breszynski
打楽器/Michel Cerutti
指揮/シュロモ・ミンツ Shlomo Mintz
録音/1996年12月、パリ、シャンゼリゼ劇場(Le Théâtre des Champs-Elysées)
仏盤 Valois V-4805
*久しぶりに華のある配役・演奏陣を揃えた全曲盤。キャロル・ブーケ、ドパルデュー父子の競演も目覚ましいが、パリ音楽院系の名手たちと、それを率いるミンツの個性的なヴァイオリンも聴きものだ。パリで催された「エイズ撲滅」特別演奏会ライヴとのことだが、リハーサル・テイクを主にしたようで、会場ノイズは皆無。ちなみに、シャンゼリゼ劇場は1924年4月(24, 26, 27日)、アンセルメ指揮、ピトエフ夫妻らの出演で「兵士の物語」パリ初演が行われた場所でもある(この上演は酷評された)。
30)
[追加]ウィントン・マーサリス共演盤(英語版 The Soldier's Tale)
英訳/J・A・フィリップス J. A. Phillips
語り手/アンドレ・デ・シールズ André De Shields
ヴァイオリン/Ida Kavafian
コントラバス/Edgar Meyer
クラリネット/David Shifrin
ファゴット/Milan Turković
トランペット/Wynton Marsalis
トロンボーン/David Taylor
打楽器/Stefon Harris
指揮者なし
録音/1998年5月8日、ニューヨーク、アリス・トゥリー・ホール(Alice Tully Hall)
日盤 カメラータ・トウキョウ Camereta CMCD-28062 2007年発売
*20世紀も押し詰まった頃になってNYで素晴らしく質の高い演奏会があった。The Chamber Music Society of Lincoln Center と Jazz at Lincoln Center の共催の公演だそうで、これはその実況録音。マーサリス、トゥルコヴィツといった最高級の名手たちが揃って指揮者なしで演奏する。朗読はブロードウェイでよく知られた役者というが寡聞にして知らない。さすがに水も漏らさぬ完璧な演奏で、とても実況とは思えない。英語テクストは新版だが、概ねラミュの原作に忠実である。マーサリス自作の五重奏曲を併録。
31)
[追加]アンドラーシュ・ヴィルヘイム指揮盤(ハンガリー語版 A katona története)
ハンガリー語訳/ヤーノシュ・ラクフィ
語り手/ヤーノシュ・クルカ
兵士/ヨージェフ・サルヴァシュ
悪魔/ラースロー・ヘリエイ
皇女/ユディト・シェル
ヴァイオリン/スパルタクス・ユニキ
コントラバス/ヴィルモシュ・ブザ
クラリネット/ラヨシュ・ロズマーン
ファゴット/タマーシュ・ベンコーチュ
トランペット/タマーシュ・ヴェレンツェイ
トロンボーン/イェネー・カーチク、フェレンツ・コーチャーシュ
打楽器/ゾルターン・ラーチュ
指揮/アンドラーシュ・ヴィルヘイム
録音/1998年(演奏)、2000年(台詞)、ブダペスト
洪盤 Budapest Music Center Records BMC CD 041 2000年発売
*史上初のハンガリー語版「兵士」の登場である。片言隻句も理解できないが、それでも存分に愉しませてくれる好演技・好演奏である。管見の限りでは東欧諸語圏ではこれが唯一の盤ではないか。
32)
ヘルマン・バイル指揮盤(ドイツ語版 Die Geschichte vom Soldaten)
独訳/ハンス・ラインハルト Hans Reinhart
語り手/ローレ・ブルンナー Lore Brunner
メルリン・アンサンブル・ヴィーン Merlin Ensemble Wien
ヴァイオリン/Martin Walch
コントラバス/Denton Roberts
クラリネット/Harumi Tanka
ファゴット/Allen Smith
トランペット/Stefan Ennemoser
トロンボーン/Othmar Gaiswinkler
打楽器/Klaus Reda
指揮/ヘルマン・バイル Hermann Beil
録音/2000年9月23日、ブレーメン(Rathaus zu Bremen, obere Halle)
独盤 Preiser 90475 2001年発売
*女性一人の語りによるドイツ語版。第11回ブレーメン音楽祭でのライヴ(ただし最後の拍手のほかはノイズ皆無)。冒頭、演奏前の音合わせから始まる。このアンサンブルは1991年に創設。ヨーロッパ室内管とカメラータ・アカデミカ・ザルツブルクのメンバーから構成され、演奏はさすがに手堅い。「悪魔の凱旋行進曲」は静かに終わり、原作にない短いエピローグがつく。ブレーメン放送局との共同制作盤。
33)
ジャン=フランソワ・ヴェルディエ指揮盤(フランス語版 L'Histoire du soldat)
語り手/ジュヌヴィエーヴ・パージュ Geneviève Page
悪魔/ミシェル・フォー Michel Fau
兵士/エリック・ペレーズ Eric Pérez
ヴァイオリン/Agnès Crépel
コントラバス/Tierry Barbé
クラリネット/Jérôme Julien-Laferrière
ファゴット/Gilbert Audin
コルネット/Pascal Clarhaut
トロンボーン/Yves Favre
打楽器/Gérard Perotin
指揮/ジャン=フランソワ・ヴェルディエ Jean-François Verdier
録音/2003年4月、オルネ=スー=ボワ(L'Auditorium de l'Ecole Nationale d'Aulnay-sous-bois)
仏盤 Arion ARN-68634 2004年発売
*フランス語の語り三人によるオーソドックスな編成。どこにも記載はないが、ラミュのテクストは現行版ではなしに、1946年の加筆最終改訂版によっているのが最大の特色(アンセルメの52年のライヴ盤とほぼ同一)。「語り手」のパージュは映画出演(「昼顔」「シャーロック・ホームズの冒険」など)で知られる著名な舞台女優(1930生)だが、その口跡はなかなか個性的だ。アンサンブルの演奏も破綻のない出来。「悪魔の凱旋行進曲」はここでも最後は遠ざかって終わる。併録が「猫の子守唄」(ラミュ詩、1919)、「エレジー」(1944)というのも、なかなか気がきいている。
34)
[追加]イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮盤(英語版 The Soldier's Tale)
英訳/ジェレミー・サムズ Jeremy Sams
語り手/ジェレミー・アイアンズ Jeremy Irons
コロンビア室内アンサンブル Columbia Chamber Ensemble
ヴァイオリン/Israel Baker
コントラバス/Richard F. Kelley
クラリネット/Roy D'Antonio (+Hugo Raimondi or Louise D. Dissman?)
ファゴット/Donald Christlieb
トランペット/Charles Brady (+Sidney Lazar?)
トロンボーン/Robert Marsteller (+Hays Johannen?)
打楽器/William Kraft
指揮/イーゴリ・ストラヴィンスキー Igor Stravinsky
録音/1961年2月10、13日、ハリウッド(American Legion Hall, Hollywood)
追加録音/1967年1月24日、ハリウッド(American Legion Hall, Hollywood)
朗読録音/2005年12月2日、ロンドン(Lansdowne Studio 2, London)
米盤 Sony 82876-76586-2 2007年発売
*とんでもない新盤が登場した。ストラヴィンスキー自作自演による全曲盤である。よく知られているようにストラヴィンスキー自身は「兵士」の組曲版を三度レコーディングしたものの、朗読入り全曲は一度も録音しなかった…はずだったのだが、2005年春にレコード会社の倉庫から、ストラヴィンスキーが1967年に「追加録音」したセッション・テープが見つかり、1961年の「組曲版」録音と組み合わせると全曲分の音楽が途切れなく揃うことが判明したのである。恐らく当時 Columbia 社はマルケヴィッチ=コクトーによる全曲盤の「成功」を目のあたりにして、なんとしても作曲者自身による全曲決定盤を出さねば…と考えたのであろう。そこで追加セッションが行われたものの、いかなる事情からか肝腎の朗読部分の録音がなされぬままお蔵入りになったとおぼしい。そこでジェレミー・アイアンズの朗読を新たに吹き込んで、漸く晴れて自作自演完全全曲録音がお目見えしたという次第。