日中の蒸し暑さにはいささか閉口。でも気を取り直して、「Hosono Theater」六夜目に足を運ぶ。
今日(29日)の番組は、未見だった「メゾン・ド・ヒミコ」(2005)。
傑作との評判はほうぼうから聞いていたし、何よりも細野さんの最新の映画音楽なので、見逃してはならじと、渋谷のユーロスペースへ。
監督/犬童一心
脚本/渡辺あや
撮影/葛井孝洋
音楽/細野晴臣
出演/オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊 ほか
海に面した老人ホーム。そこに集うのはすべて老いたゲイばかり。その主宰者にして入居者でもある老人(田中泯)はすでに癌に冒され、余命いくばくもない。老人の年若い恋人である青年(オダギリ)は、ホームに住み込みながら雑事万般をとりしきっている。
そこに老人の娘(柴咲コウ)がやって来る。家族を捨てゲイに走った父を憎みながらも、破格の給料に惹かれて、日曜日だけのバイトを引き受けたのだ…。
奇を衒った設定のようにみえて、実はそうではない。どこでも誰の身にも起こる「老い」と「死」、「孤独」と「絆」の問題が、淡々とさりげなく、繊細な語り口で提示される。ゲイたちの悲喜こもごもの暮らし。その日常の描写がまことに精妙。節度と品格の備わった演出に舌を巻いた。
オダギリジョーと柴咲コウがそれぞれに素晴らしい。奇妙な巡り合わせから、仄かに心通わせる二人、だが男女の恋愛とは微妙に異なる…という、とても難しいスタンスを見事に演じ切った。
細野さんの音楽もまた、この映画に寄り添うように、きめ細やかでデリケート。音楽だけが突出する瞬間は1秒たりともなく、シーンごとに変幻自在、風や香りのようにそこはかとなく漂う。
このあたりの絶妙さは、サントラ盤を聴いただけではちょっとわからない。
今夜はトークショーはなし。それでも帰宅は午前1時になった。すぐには眠れない。
明日(30日)は最終日。いよいよ細野さんの言葉がじかに聴ける。