昨日のこと、流れてきたツイート記事で知ったのだが、ロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵するイタリア・ルネサンス絵画の逸品、ピエロ・デッラ・フランチェスカの《キリスト降誕 The Nativity》の修復が完了し、お披露目されたとのことだ。この絵はもちろん何度となく観ている。ロンドンを訪れるたびに「また来ました」と必ず挨拶する。ファン・エイクの《アルノルフィーニ夫妻》やティツィアーノの《バッカスとアリアドネ》と同じくらい親しい作品だ。
この《キリスト降誕》はピエロ・デッラ・フランチェスカ最晩年の作と目され、背後の羊飼い二名の顔がひどく損傷して粗描き同然に見えるので、しばしば未完成の作品とも考えられてきた。それがこのたび入念な修復作業を経て、丁寧に補筆されて面目を一新したらしい。しかも背後に描かれた廃屋のような小屋組みの描写も蘇り、そこに屋根の穴から射し込む一筋の光が描かれているのも判明したという。
最大の謎は、背景に光と影の丹念な描写がなされながら、マリアをはじめ登場人物の影が地面に全く落ちていない点だ。それについてもナショナル・ギャラリーの学芸員は答えを用意しているらしい。詳しくは同美術館のサイトに掲げられた報告記事をお読みいただきたい。
https://www.nationalgallery.org.uk/behind-the-scenes/restoring-piero-della-francesca-s-nativityこのたびの修復作業に併せて、後世この絵にあてがわれた大仰で不似合いな祭壇画ふうの額縁も取り除かれ、すっきりシンプルな新品の額縁に替えられた由。ううむ、これは一刻も早く間近から観てみたい! だがいつの日になることか!