この半月ほど掛かりきりになっていた懸案の研究論文がやっと仕上がった。去る3月27日に白百合女子大学で催した拙レクチャーの中核部分を論考に仕立てたものだ。といっても、原稿なしに即興的にしゃべったので、同じ内容とはいえ、新たに一から書き下ろさねばならなかった。我ながら非効率とは思うが、いつものことなのである。
標題は「光吉夏弥旧蔵のロシア絵本について」。同大学の児童文化研究センター「光吉文庫」に遺された六十一冊のロシア絵本をさまざまな観点から分析した内容だ。分量に制約がないのをいいことに、註を含めて二万字(原稿用紙で五十枚)以上も書いて、ようやく結語まで辿り着いた。締切は先週末(11月18日)だったのだが、少し延ばしてもらい、約束の期日の今朝、耳を揃えて提出したところである。長い原稿は今後もう体力的に書けないだろう――そう思うにつけ、生半可な態度では臨めない気がして、非力を顧みずに頑張った次第。人事を尽くして天命を待つの心境である。