小心者なので県境を跨ぐのにまだ躊躇があるが、臆病心を抑え込み、勇を鼓して上京、初台まで出向いて開始早々の展覧会を観た。言うまでもなく「和田誠展」である。こればかりは待ちきれなかったのだ。
和田誠の仕事はなにしろ膨大だから、オペラシティの展示スペースに収まり切れない。それでも本展は健闘していた。隅々まで工夫が行き届いていた。展覧会の構成はこんなふう。
❖好きなことを好きなだけ。和田誠をめぐる30のトピック。
1. 未来を予感させる子どもの頃の絵や映画日記「和田誠になるまで」
2.「ハイライト」をデザイン「ライトパブリシティの時代」
3. 独特の色彩と大胆な構成で映画ファンを魅了した「日活名画座」
4. 文化的交流が後の仕事にも繋がった「草月アートセンター」の仕事
5. 作りたいものは自分で作る。最初の絵本は「私家版絵本」
6. 大胆な発想でのびのびと「谷川俊太郎との仕事」
7. グラフィカルでアイデア満載、画法もバラエティに富んだ「絵本」
8. 楽しくやさしく「子ども向け挿絵」
9. 回文、しりとり、数え歌。ことばあそびの魅力「ことばのこばこ」
10. 挿絵、訳詞も手がけたライフワーク「マザーグースの世界」
11.「みんなのうた」第一回目は和田誠の「アニメーション」
12. 少ない要素で特徴をつかむ職人芸「似顔絵」
13. 音楽、映画、ショービズ、青年期を綴る「エッセイ」
14. 一流の映画ファンは一流の「映画監督」
15. 手がけた書籍は2000冊以上「装丁」
16. 装丁に見る「和田文字」
17. 31センチ角の舞台「LPジャケット」
18. 趣味の域を超えるあたたかなメロディ「作曲」
19. 音楽、劇場、映画、広告など幅広く「ポスター」
20. 革新的雑誌のアートディレクション「話の特集」
21. 真面目に遊ぶ「パロディ」
22. クスッと笑えるユーモアのひとコマ「漫画」
23. シンプルでぬくもりのある「ロゴマーク」
24. 長く続いたシリーズ「ロングランの仕事」
25. 描いた表紙は約2000点、40年続いた「週刊文春」
26. お気に入りのモチーフ「猫」
27. 愛情豊かに「家族との仕事」
28. 絵ができるまで「ただいま制作中」
29. 初めての本は1960年「著書200冊」
30. 83年間の膨大な仕事・交友・出来事をたどる「ビジュアル年表」
とにかく展示点数が恐ろしく多いから、一度ではとても見きれやしない。一時間半ほど歩き回って、今日はこれぐらいにしておく。カタログが出来上がった頃合いを見計らって、また再訪しよう。