土曜の朝はいつも遅寝して、寝床でピーター・バラカンのラジオ番組を聴くのが愉しみなのだが、今朝は何故か六時台に目覚めると合唱番組が始まった。
今年が歿後七十五周年にあたるバルトークの特集だとアナウンスされると、すぐさま電撃に打たれたように覚醒する。誰がなんと言おうとも、このジャンルこそ彼の本領だと信じて疑わないからだ。
《三つの村の情景》
アンタル・ドラーティ指揮
ジェール女声合唱団&ブダペスト室内アンサンブル
Hungaroton HCD 31047
《カンタータ・プロファーナ 九頭の不思議な牡鹿》
テノール/タマーシュ・ダローツィ
バリトン/アレクサンドル・アガチェ
ゲオルク・ショルティ指揮
ハンガリー放送合唱団&ブダペスト祝祭管弦楽団
London POCL-1807
《二十七の合唱曲》より
■ 第一曲「春」
■ 第四曲「故郷への手紙」
■ 第十七曲「聖ミカエル祭の挨拶」
■ 第二十二曲「後悔」
■ 第二十四曲「鳥は飛び去った」
■ 第二十七曲「神様のご加護を」
ラースロー・ドブジャイ指揮
スコラ・フンガリカ(女声合唱)
Hungaroton HCD 31080
寝床からむっくりと起き上がり、すっかり目醒めた耳で一心に聴き惚れる。本当に至純で無垢な音楽、骨の髄までハンガリー的な音楽とはまさしくこれだ。
カンタータで鹿の息子が慨嘆する悲痛な科白「お父さん、角が戸口につかえて、僕はもう家には戻れません」が胸を打つ。もしもバルトークが病魔に冒されず祖国へ生還できたとしたら、きっと同じ言葉を吐いたような気がする。「もう国には戻れません」と。横行する独裁と官僚主義に、彼が堪えられたとはとても思えないからだ。