雨がほとんど上がったので、駅前のコンビニまで出向いてタワーレコードからの荷物を回収してきた。中身は新着CDと、月刊誌 "BBC Music Magazine" の七月号。
届いたディスクは入荷が何度も延期されてヤキモキさせられたエルガーの新譜である。
"Elgar: Sea Pictures -- The Music Maker / Rudge -- RLPO -- Petrenko"
エルガー:
《海の絵》
《ミュージック・メイカー》*
メゾソプラノ/キャスリン・ラッジ
ワシリー・ペトレンコ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー合唱団*
2019年3月20~22日、7月4~6日*、リヴァプール、フィルハーモニック・ホール
Onyx ONYX 4206 (2020)
https://tower.jp/article/feature_item/2020/02/14/1104
全く知らなかったが、ワシリー・ペトレンコはOnyxレーベルに手兵を率いてエルガーを着々と録音しており(二つの交響曲、エニグマ変奏曲など)、本盤はその第四集なのだとか。
お目当ての歌曲集《海の絵》は新進ラッジ嬢の独唱も奏功して申し分のない仕上がり。合唱入りの《音楽を創る人》も目覚ましくドラマティックな演奏だ。交響曲の断片や《エニグマ》の「ニムロッド」、さらには《海の絵》の冒頭部分まで繰り出される自伝的・回顧的な作品。内容的には申し分ないアルバムだが、カヴァーが指揮者の地味な顔写真とは工夫がちと足りなかろう。
久しくタワレコの実店舗を訪れていないので、"BBC Music Magazine" を手に取るのは随分と久しぶりだ。表紙を飾る馬友友のインタヴュー記事にはさして興味が湧かず、パーヴォ・ヤルヴィ、フランツ・レハールやチャイコフスキー《ロミオとジュリエット》の小特集にもあまり食指が伸びないが、それでもこの雑誌は面白くて、ついページを捲ってしまう。
新譜レヴューも(どこかの凡庸なレコード雑誌とは違い)鋭い指摘や着眼点があって、読み応え充分。それもそのはず、David Nice, Daniel Jaffé, Roger Nichols ら錚々たる常連批評家がずらり顔を揃えているのだから。今こうして聴いているペトレンコ指揮のエルガーもちゃんと正当に評価されている(演奏は星四つ、録音は星五つ)。
新刊書の紹介ページには、そのロジャー・ニコルズの近著 "PoulencーA Biography" (Yale) が載っている。最新のプーランク評伝。これは必読だろう。
お愉しみの雑誌付録CDは、ラヴェルの《ダフニスとクロエ》全曲。ドナルド・ラニクルズ指揮BBCスコティッシュ交響楽団ほかが2011年にロンドンのBBC Primsに出演した際のライヴ録音である。これも上首尾な演奏。