先週末、白百合女子大学の児童文化研究センターからメール連絡をいただいた。小生はこの春(3月7日)ここで「光吉夏弥旧蔵ロシア絵本について」と題して講演する予定だった。御多分に漏れず、この催しもコロナ禍のあおりを受けて開催延期を余儀なくされたのである。数か月間かけて準備してきただけに、その成果をお伝えできず、残念でならなかったし、当日ご参集を予定された方々には申し訳なく思っている。
さてその児童文化研究センターからのメールによれば、白百合女子大学は今もキャンパス内への立ち入りが制限されており、授業はすべてオンラインでなされ、学生も構内に足を踏み入れられない状況だという。
秋以降の授業がどうなるかは現時点では未定ながら、「大学構内に外部から多くの方々をお招きする、対面での講演会は延期せざるを得ない」とのこと。さもありなん、今はどこの大学でも同じ対応だろう。そのうえで、「あるいは講演会のオンラインでの開催という方法もあるかもしれません。ご意見をお聞かせください」と、当方の意向はどうか、問い合わせる文面だった。
週末かけていろいろ考えてみたが、やはりオンラインで講演するのはどうにも気が進まない。パワーポイント画像を示しながら、用意した原稿を読み上げることは可能だが、それではいかにも味気ないし、ロシア絵本の現物をお目にかけることもできない。
なにより、集まった聴衆の方々のヴィヴィッドな反応が話をいっそう白熱化させるという、ライヴならではの「化学反応」がオンラインでは起こりえない。この相互作用の醍醐味が得られずして講演を催す意味がないではないか。
小生の返信はこうである。
無観客・オンラインでの開催も考えなくはないのですが、やはり同じ空間でじかに語りかけ、熱心な聴衆と時間を共有するところこそ、講演会の良さだと考えております。
今年度が無理ならば次年度以降でも、小生としては一向に構いません。いずれ事態が好転し、心おきなく語り合える日が到来するのを、今は心静かに待ちたいと考えております。それまで健康に留意しつつ、研鑽に努める所存です。