「パリの四月 April in Paris」「ニューヨークの秋 Autumn in New York」など、数多くのヒット作/スタンダード・ナンバーの作者として知られる作曲家ヴァーノン・デューク(1903~1969)の自叙伝。五百ページ近い大冊だが、繰り出されるエピソードの面白さ、描写の巧みさ、筆致の軽やかさで、一気にすらすら読めてしまう。
よく知られているように、彼はれっきとしたロシア人で、本名をヴラジーミル・ドゥケーリスキー(Vladimir Dukel'sky)という。
ロシア革命の難を逃れて命からがらパリに流れ着き、先輩のプロコフィエフの世話になりながらクラシック畑の作曲家を目指す。やがて才能を大伯楽ディアギレフの認めるところとなり、彼の注文でバレエ・リュスのために新作バレエ《ゼフュロスとフローラ Zephyr et Flore》を作曲。
やがてニューヨークに活動拠点を移すと、今度はガーシュウィンの庇護を受け、ブロードウェイでレヴューやミュージカルの作曲に専心、ヴァーノン・デュークの名でめきめき頭角を現した。
こういう経歴の人だから、自叙伝も舞台がペテルブルグ、オデッサ、パリ、ニューヨークと次々に移り変わり、上述したプロコフィエフ、ディアギレフ、ガーシュウィンらが重要な登場人物として頻繁に姿を現す。まるで映画だ。
どうです? 面白そうな本だと思いませんか? 今すぐにでも読みたくなったでしょう?