昨日(4月24日)はセルゲイ・プロコフィエフの誕生日だった。もちろん連年どおりヴァイオリン協奏曲の第二番を聴いた。この習慣ばかりは非常時にも変わることがない。
引き続き、今日もまたプロコフィエフを聴こう。届いたばかりの新譜CDである。ただし録音ははるか昔、LP時代の最初期のものばかり。なかには作曲家の生前になされた歴史的録音も含まれる。
"Prokofiev -- The Decca Masters"
プロコフィエフ:
《ピーターと狼》
ナレーション/フランク・フィリップス
ニコライ・マルコ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1949年12月6日、ロンドン、キングズウェイ・ホール
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交響曲 第五番
エリク・トゥクセン指揮
デンマーク放送交響楽団
1952年10月9日、コペンハーゲン、デンマーク放送局楽堂(?)
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組曲《キジェー中尉》
エイドリアン・ボールト指揮
パリ音楽院管弦楽団
1955年6月9日、パリ、ラ・メゾン・ド・ラ・ミュテュアリテ
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組曲《三つのオレンジへの恋》
エイドリアン・ボールト指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1955年6月27~29日、ロンドン、キングズウェイ・ホール
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《ロシア序曲》
交響曲 第七番
ジャン・マルティノン指揮
パリ音楽院管弦楽団
1957年10月29、30、11月2日、パリ、ラ・メゾン・ド・ラ・ミュテュアリテ
豪Eloquence Decca 484 0357 (2CDs, 2020)
版元からの予告編 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=ZZA1TvaMdk4
いずれもプロコフィエフ音盤史に登場し、それなりに認知された英Decca録音ばかりだが、冒頭のニコライ・マルコ(マリコー)指揮《ピーターと狼》はこれが初めての正規CD化だという。
プロコフィエフと個人的に親しく、レニングラードやプラハで共演を重ねたマルコの解釈には千金の重みがある。この《ペーチャ》はクセヴィーツキー(1939)、スモーレンズ(1940)、ストコフスキ(1941)、ディズニーのアニメ映画(1946)、ゴロワーノフ(1947)に続く世界で六番目、西欧では最初の正規録音ということになろうか。ちなみにゴロワーノフ盤を除いて、なぜかナレーターはいつも男性である。
トゥクセン指揮の《第五》もLP時代に入って最初の録音なのだそうだ。楽団の非力さは否めないが、解釈そのものは威厳に満ちた堂々たるものだ。ボールト指揮による《キジェー》と《オレンジ》も珍しい聴きものだが、演奏に違和感はない。これら三つは数年前にDecca初期録音の集大成ボックスが出た際に、オリジナル紙ジャケ入りで覆刻済みである。
マルティノン&パリ音楽院による《第七》は、ステレオ収録ということもあって、同じ顔ぶれの《第五》とともに、かなり知られた録音だろう。マルティノンはのちにフランス放送国立管弦楽団のシェフとして、プロコフィエフ交響曲全集(米Vox)まで残しており、この作曲家のスペシャリストと呼びうる存在だった。純音楽的な行き方による、統率のとれた立派な演奏である。
マルティノン指揮の《第七》
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=UGm8Osdt6g4