ウイルス感染はいよいよ危機的な段階に入ったらしい。全国の国立博物館は今日から、国立美術館は明後日(28日)から臨時休館に入るという。こうなると雪崩を打ったように他の美術館もあとに続くだろう。会期半ばの展覧会の多くはそのまま打ち切りになってしまう。残念だが致し方ない。
そうなる前にと、息せき切って出向いたのは京橋の旧フィルムセンターで開催中(当初の予定では3月8日まで)の展覧会「ポーランドの映画ポスター」。「日本・ポーランド国交樹立100周年記念」と副題がつく。
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/polishposters/
この国の映画・演劇ポスターの斬新で独創的なグラフィズムは夙に広く知られている。昨春にも葉山の神奈川県立近代美術館で「ポーランド・ポスター展」が開催されたばかりだが、今回の展示はジャンルを映画のみに特化し、しかも国立映画アーカイブ、川喜多記念映画文化財団、武蔵野美術大学などの収蔵ポスターが総結集し、葉山のコレクションからも少なからぬ優品が出品される。これを見逃がしたら映画の神様に申し開きがたたないだろう。
展観された約百点のどれもが目覚ましい。映画のポスターといえばスチル写真を流用するのがどこの国でも暗黙の約束事だろうが、ポーランドでは異例なことにスチルを滅多に用いない。ひたすらオリジナルのデザイン・ワーク、それも大胆に図案化・形象化されたモティーフが連打される。世の東西を問わず、ここまで元の映画作品から自由に解き放たれた映画ポスターは世界に例を見ない。だが、よくよく見ると、それらの表象はちゃんとフィルムの神髄を鋭く捉えているのである。端倪すべからざるグラフィックというべきか。